第20話


 なんだか疲れが出てきたな。


 エステ行かないと。


 俺は店に向かう。


 あれ?閉まってる?おかしいな。


 店はシャッターが閉まっており、インターフォンを押しても反応がない。


 24時間年中無休のはずなのに。


 俺は電話してみると、アナウンスが流れ、繋がらなかった。


 俺は不安になってネットで調べる事にした。


 すると、ネットニュースのトップに店の名前が!


 は?何かあったのか?


 なんと、先生の脱税が発覚し支払いが出来ずに倒産する予定だと。


 は?50万は?香織ちゃんとの楽しみは?どうなるんだよー!!!



 俺は絶望的だった。


 どうしよう。俺の50万。ナナちゃん‥‥。


 

 足取り重く家に帰ると、倒れるように眠りについた。



 翌朝起きると、身体中が痛かった。


 いてててて!


 なんでこんなに痛むんだ?


 俺は顔でも洗おと洗面台に立つと驚いた。


 俺の顔が、首がシワだらけになっていた。


 まるで老人だ。


 どうゆう事だ?服をめくってみるとお腹もたるんでる。


 あり得ない、おかしい。

 もしや、これは若返っていた反動か?


 でもこんなんじゃ会社行けないよ。


 俺はマスクをして行くことにした。


 電車に乗ると人混みに押され、まともに立つ事も出来なかった。


 頑張って立っていると、目の前の若い女性が話しかけてきた。


「あのぉ」


「はい」


 おっもしかしてナンパか?

 

「よかったらどうぞ」


 そう言うと女性は俺に席を譲ってくれた。


「あ、ありがとう」


 足が限界だった俺は座る事にした。


 そうだ、今の俺は老人のようなんだ。


 やっとのことで会社に着く。


 オフィスに入るとみんなが不思議そうな目で俺を見ていた。


「あの、どちら様ですか?」


「あ、山城さん、俺だよ俺。小竹だよ」


「ふぇっ?小竹さん?どうしちゃったんですか?」


「ちょっと色々あってね」


「色々って。70代くらいに見えますよ?」


「悪いんだけど、お茶淹れてくれる?もう喉がカラカラで」


「‥‥分かりました」


 山城さんがどことなく冷たく感じた。


「はい、どうぞ」


「ありがとう、そうだ、今日ご飯でも行かない?」


「あぁ、今日はちょっと‥‥」


「そうか」


 俺はとにかく現実逃避せずにはいられなかった。


「佐竹、今日一杯どうだ?」


「お前どうしたの?その顔」


「ちょっと色々あってさ」


 俺は佐竹に打ち明けることにした。

 自分一人で背負うには重すぎたのだ。



「へぇ〜。それでこの前まで若かったんだ」


「そうなんだよ、本当困ってさ」


「まぁ自業自得じゃない?自分の力で若くいたわけじゃないんだしさ、そうゆうのっていつか限界が来るもんだよ」


「えらい冷たいな」


「お前は努力するような人間じゃないもんな」


 何故か心にぐさぐさ刺さる。


「まあせいぜい若い彼女と上手くやりなよ」


 そう言って佐竹は先に帰ってしまった。



 そりゃそうだよな。お金で買った若さなんて本当の自分じゃないよな。


 香織ちゃん、俺の事嫌いになるかな。

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