第15話
翌朝通勤の為電車に乗り込むと実感した。
30代の頃モテようと必死でトレーニングして鍛えていた筋肉までもが今ここにある。
周りの俺と同年代であろうサラリーマン達はつり革に捕まってないとグラグラ立っていられない。
それに比べ俺は手放しで乗れるんだぞ。
なんという優越感。
会社に着き今日は階段でオフィスまで上がろう。
俺は階段を一つ飛ばしで上がる。
「小竹さんおはようございます、今日はさらに元気そうですね」
山城さんが笑いかけてくるが口元のほうれい線が気になる。
「あぁ、おはよう」
なんだ?以前に増して話しかけてくるようになったな。まさか、俺狙われてる?
身の程を知ってほしいよ、本当。
あっ香織ちゃんに連絡連絡〜!
小竹です。この前はごめんね。
お詫びにご飯行かない?
香織です。ご飯いいですね、今晩とかどうですか?
香織ちゃんの食いつきもいいね〜。
この前へましちゃったのに優しい子だ。
それとも香織ちゃんはドSなのか?
それはそれで興奮するなぁ。
あっやばい。
ここは会社だ、香織ちゃん頭から消えろ〜。
「何やってんの?」
佐竹が俺のことをずっと見ていたらしい。
「何にもやってないよ」
「頬が緩んでるぞ」
「たるみなんかないはずだ!」
「緩んでるって言ったんだよ、たるんでるのはお前の勤務態度だよ、ったく」
ふんっ、そうは言ってもこいつには分からないだろうな、最近の俺はつきまくってるんだ。
今までの冴えない生活からはおさらばだ、ここは人生の折り返し、今からが本当のスタートだ!
今晩も香織ちゃんとヌクヌク〜。
俺は仕事を定時で終わらせて約束の場所まで走る。
軽い足取りで香織ちゃんに近づく。
「香織ちゃん!」
香織ちゃんはいつも俺より早く待ち合わせに来ている。いい子だ。
「小竹さん、元気ですね」
目を細めて口角がキュッと上がった笑顔は俺だけのものだ。
「香織ちゃんに会えると思うと気分がよくてね」
「ありがとうございます」
「今日は予約出来てないんだけど、何食べたい?」
「そうですね、ご飯もいいですけど、ゆっくりしたいな」
ん?さてはこの前の夜が忘れられないのかな?今日はコンディションよし、体型よし、体力も有り余ってる。
「じゃあ軽くなんか食べて行こうか」
「はいっ」
俺たちは近くの居酒屋に入り軽く食事を済ますと足早にホテルに向かった。
香織ちゃんって意外と好きなんだな。
「小竹さん、私気になってる事があるんですけど」
「なにかな?」
「私たちの関係ってなんですか?」
「関係?そうだよね、はっきりしないとね」
「はい」
「香織ちゃん」
「はい」
「俺と付き合って下さい」
「はい、よろこんで」
こうして俺たちは正式に付き合う事になった。こんなに若くて可愛い彼女がいるなんて、みんなが知ったらビックリするだろうな。
俺は浮かれていた。
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