第8話


 土曜日になり、山城さんとは映画館で待ち合わせをした。


 適当に用意を済ませ、映画館に向かう。


「小竹さん!」


 山城さんが手を振る。


「あぁ」


 一応振り返してみるか。俺は手を振りかえした。


 

「チケット発券しときましたから」


「あぁ、ありがとう」


 席に着き、山城さんに聞く。


「何の映画?」


「ラブストーリーですよ」


 この歳でラブストーリーか、しかも側から見たら夫婦と間違われてもおかしくないよな。そんな事を考えていると、映画が始まった。


 俺は完全に見入ってしまっていた。


「意外といい話だったね」


「でしょ?感動するって話題になってるんですよ」


「そうなんだ」


 俺は映画の余韻で気分がよくなっていた為、その後山城さんと食事に行く事にした。


 たまに同僚と飲みに行く居酒屋に向かう。


 山城さんとは映画の話ですっかり盛り上がり、お酒も進む。


「この後ってどうします?」


 いい感じに出来上がっていた俺たちは気付いたらホテルに足が向いていた。


 お互い、いい歳だし特別な気持ちはない。



 ホテルに入り、山城さんが恥じらいを見せ始めたので、俺は先にシャワーに行くと伝えた。


 俺の俺が昂っていた。


 タオルを腰に巻き、上がる。


「山城さんもシャワーしておいでよ」


「はい」


 そう言いつつ、俺の下半身をチラチラ見ている。


 それもそのはず、腰に巻いたタオルはテント状態になっているからだろう。



 俺は先にタオルを取り、ベットに入る。


 全裸にひんやりとした布団が当たり気持ちいい。


 そのうち、山城さんもタオルを巻いて出てきた。


 おぉ。なかなかのスタイルだ。

 着痩せするタイプなのか、いつもの山城さんからは想像できない程グラマラスだ。


「おいでよ」


 俺はさっそく山城さんをベットに誘う。


「電気、暗くしてもいいですか?」


「いいよ」


 俺も多少は暗い方が集中出来る。


 後ろを向いてタオルを取る山城さん。


 いいから早くこいよと心の中で思うが、言わない。


 やっと布団に入ってきたかと思えば仰向けのまま待っている。


 俺はそっちから誘っておいて受け身かよと思ったが、ここまで来たのだから仕方なく始めた。


 しかし、ここでトラブルが発生した。


 俺が必死に動いていると、やってしまったのだ。


 ギックリ腰を。


 山城さんは気にしなくていいと言っていたが、そうじゃない。


 俺が心配しているのは、香織ちゃんとの事だ。もしそうゆう雰囲気になったとして、俺がこんなんじゃ示しがつかない。


 山城さんとはさっさと解散して家に帰った。


 なんだかモヤモヤしたまま腰も痛いしスッキリしない。明日までに少しは良くなるか?



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