第7話


 香織ちゃんから次のお誘いが来ないまま数日が経つ。


 まったく、香織ちゃんは駆け引き上手なんだから、俺がリードしてやるか。

 連絡をしてみる事にした。


 小竹です。次の予定はどうかな?



 すると、またすぐに返事が来た。



 香織です。すいません、今勉強が忙しくて時間が取れそうにないです。


 勉強そんなに大変なの?



 はい、なかなか進まなくて。



 勉強なら俺が教えてあげるよ!


 でも小竹さんも仕事があるでしょうし、大丈夫ですよ。


 そんなの気にしないで!俺勉強ばっかりしてきたから、力になれると思うよ!


 気持ちは嬉しいですけど、悪いですよ。


 悪くないよ!むしろ教えさせて!香織ちゃんの事助けたいんだよ!


 ありがとうございます、そこまでおっしゃってくれるなら是非お願いします。


 じゃあ次の土曜にする?夜はご飯でも行こうよ!


 次の土曜は予定があって、日曜はどうですか?


 わかった、じゃあ日曜ね!



 香織ちゃんとの約束も出来たし、勉強ならうちに来てもらうか。

 そんな事を考えながらまともに仕事もせず、携帯ばかりみていると、また佐竹がからかってきた。


「小竹〜仕事しろ〜」


「分かってるよ」


「ずっと携帯いじってんの知ってるんだぞ〜」


 佐竹は早くに結婚して嫁さんの尻に敷かれている。一方俺は若くて可愛い香織ちゃんといい感じだ。

 優越感に浸っているのを佐竹は知らない。


「はいはい」




「小竹さん、ちょっといいですか?」


 給湯室の陰から山城さんが俺を呼んでいる。なんだ?


「はい、どうしました?」


「あの、今度の日曜って空いてますか?」


「空いてないけど」


「そうですか、じゃあ土曜の夜とか空いてますか?」


「空いてるのは空いてるけど、なんで?」


「付き合ってほしいんです」


「何に?」


「見たい映画があるんですけど、どうしても一人で行く勇気がなくて、もしよければ一緒に行ってくれませんか?」


「あぁ、どうだろ」


 俺は悩んだ、顔は綺麗だが、歳もいってるしな。もしそうゆう雰囲気になっても抱ける自信がない。


「そうですよね、無理言ってごめんなさい」


「あ、待って。いいよ土曜日」


「えっ本当ですか?」


 俺は試しに行ってみる事にした。ほんの興味本位だ。



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