第5話


 この数日間どんなに楽しみでウキウキしていた事だろう。


 佐竹にはニヤニヤして気持ち悪いと言われ、調子に乗って受付の子に話かけてみると苦笑いされた。


 でもいいんだ、俺は香織ちゃんからの連絡を待つ。


 しかし、待てど暮らせど連絡はこない。


 もしかして、連絡する勇気が出ないのか?ならば俺から連絡してみよう。

 


 小竹です。次の土曜日の夜ご都合どうですか?


 と。


 ん、すぐに返事が来た。


 香織です。土曜日の夜なら大丈夫ですよ。



 

 やはり連絡出来ないでいたのか、なんとも初々しくて可愛いな。


 今日が水曜日。待ちきれないな。


「小竹さん、何かいい事でもあったんですか?」


 この女性は事務の山城さんだ、歳は俺と同じくらいだが、とても若く見える。しかし、若く見えるだけで首元を見ればすぐに40代だと分かる。


「うん、ちょっとね」


「あ、彼女でも出来たんだ〜?」


「まあ、そんなところかな」


 俺がそう言うと、何故か山城さんは一瞬残念そうな顔をした。


 ん?山城さんは俺に気があるのか?

 もしかして、モテ期??


 でも、すまない、山城さん。

 俺には若くて可愛い香織ちゃんがいるんだ。山城さんに勝ち目はない。



 約束の土曜日、俺は朝シャンをする。


 前の彼女に加齢臭がすると言われてから体臭に気を付けている。


 久しぶりのデート、新しい服を密かに用意していた。下着も、もちろん勝負下着だ。


 下心はないといったら嘘になるが、土曜日の夜という事はそうゆう事もあり得る。

 むしろ香織ちゃんが望んでいる可能性もある。


 食事は事前にリサーチしていた、若者に人気の焼肉店にした。


 高すぎず、でもオシャレで、珍しい部位も置いている。


 時間が近づき、待ち合わせの場所に向かう。


「ナナちゃん、行ってくるね!」


 5時に噴水の前。



 俺は香織ちゃんの姿を見つけた。



「香織ちゃん!」


「あ、小竹さん」


「遅かったかな?」


「いいえ、私も今着いたばかりですから」


 俺は香織ちゃんを頭から足の先まで舐めるように見てしまった。

 何故なら香織ちゃんは肩出しのトップスにミニスカートを履いてきていたのだ。


「変、ですか?」


「あ、いやすごく可愛いよ」


「よかったです、正直何着ていけばいいのか迷っちゃって」


「随分肌が見えちゃってるよ」


「下品でしたか?」


「ぜんぜん!」


 俺はベッドインを確信した。



「じゃあ行こうか」


「はい」


 楽しいディナーの始まりだ。





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