第4話


 俺は帰りにもう一度コンビニに寄ってみた。

 すると、丁度バイトを終えたのか帰って行っている姿が見えた。


 かけより声をかけてみる。


「あの!」


「わっ!」


 少し驚かせたようだ。


「後ろからごめんね、ちょっといい?」


「あ、電車の人だ」


 俺の顔をもう覚えてくれたようで嬉しかった。


 俺は歩きながらでもいいから話をしようと誘ってみると、快くオッケーしてくれた。


 もしかして、この子も俺に気があるんじゃ。

 淡い期待を抱いて聞いてみる。


「もしよかったらなんだけど、今度ご飯でもどうかな?」


「それってナンパですか?」


「ナンパなんか、そんな下品な事しないよ!この前のお礼というか、悪い事しちゃったからお詫びというか‥‥」


「フフッ、いいですよ!」


「えっ本当に??」


「嘘だと思います?」


 からかっているようにも見えないし、やっぱりこの子‥‥。


「あっじゃあ連絡先を聞いてもいいかな?」


「LINEでもいいですか?」


「もちろんだよ!」


 俺たちはLINEを交換した。

 

 その時風が吹き、その子の髪が俺の顔にかかる。


 無意識に髪の香りを嗅いでしまっていた。


 う〜ん、いい香りだ。俺は興奮を覚えた。



「‥‥の!聞いてます?」


「えっ?あ、何かな?」


「名前教えてもらえますか?」


「俺は小竹しのぶだよ、君の名前も聞いていいかな?」


「じゃあ、私は香織です」


「香織ちゃんね、オッケー」


「私が都合いい日に連絡してもいいですか?」


「いいよ、連絡待ってるね!」


「はい、じゃあ」


 そう言って手を振り去っていく香織ちゃん。



 俺は足取り軽く家路に就く。



「たっだいま〜!」


「ねえ、ナナちゃん聞いてよ!今日とってもいい事があったんだ!」


「すごく若い子と連絡先交換しちゃったんだ!今度ご飯にも行くんだよ!俺にも春が来た〜って感じだよね!」


「ねえ、聞いてる?もしかしてヤキモチ妬いてるの?ナナちゃんは可愛いんだから〜」


 俺は香織ちゃんの髪の香りを思い出しながら布団に入った。






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