SEVEN・「別れの言葉はねぇのか?」

 ーーー天候は晴れ。時刻は午後3時をすぎた頃。

 3人……いや、4人と言った方が正しいだろう。

 鉄火、佐門、建琉の3人は、鷲雄が能力『ファスト・アンド・フューリオス』によって変身した、黒い高級車に乗り高速道路の上を軽快に走行している途中である。


 依然としてこの4人以外の車は誰の目にも映らず、この車のみ独走している状態であり、鉄火の好きな曲、タイトルは「スイカ砂糖」。アーティストは「針の容姿」……という明るめの曲を垂れ流しながら目的の「TK都」に向け走っている。



 ーーブォォーン……



 ……そんな走行中の車内、突然として鉄火が窓を開けて一人語り出した。

 その語り方は詩を読むかのようにゆったりとして、口調は彼らしくもなく優しかった。

 それはまるでみんなに言い聞かせるようだった


「俺ってさ、探偵になるのが小さい頃からの夢だったんだよ。その頃に『シャーロック・ホームズ』っていう小説を読んでから、その夢は歳を重ねる度にどんどん強くなっていってね。

 1度は諦めかけたこともあったけど、何とか自分を騙し騙し頑張らせたり親父の世話もあってやっと今、俺は念願の探偵に成れている。

 そして成れたからこそ決めたんだ。今後の目標ってやつをさ。

 俺は、『この世の不思議を解決する』……。そして今は目の前に転がってきた謎、『なぜヤクザの組が進化したものを集めているのか』……戦力にするにしても能力の幅が振れすぎてると思うんだ。

 だから、これを解決するために佐門、建琉くんと向かってるって現状なのさ。」


「鉄火……お前結構『やる気』あるんだな……少し感動したよ。」


 そんなちょっとノスタルジーな雰囲気が漂う車は、順調に2つの県をまたぎ高速から降りようとしていた。




 ーーー時刻は午後5時。彼らはインターチェンジを通過しそのまま走行をしていた。

 通過してから1kmの地点、鷲雄は3人にラジオを通じて話しかける。


「そろそろ18km先で高速を降りますよ。あなた達を下ろした後僕は何をしたらいいんですかね?」


 その問いには鉄火が答えた。


「俺たちを乗せてるってことは裏切り行為って訳だろ?なんならもういっその事仲間になろうぜ?よわよわ君!」


「僕は弱居です……。」


 そんな話をしながら進んでいると、鷲雄は何か異変を察知しスピードを少し落とした。

 スピードが落ちたのは佐門も気づき、なぜスピードを落としたのかを聞くと、鷲雄はラジオの音声から返答をした。



「それがですね、この辺最近は雨なんて降ってないんですが、地面がびちゃびちゃに濡れてるんですよね。周りには水浸しになるようなものなんて無いので不思議じゃないですか。

 それに、水浸しの所を走る時はスピード落とした方が身のためですから。」



 鉄火はその返答に「考えすぎだ」と返すが、その数分後、そんな安直な返答はすぐ裏切られることとなる事は4人はまだ知らない。


 ……5分が経過した頃である。

 彼らの乗る高級車のスピードはただいま時速90km。確かに減速をして走行をしているのだ。

 しかし急にそのスピードは120kmという高速へとメーターの針は上がって行った。

 もちろんこのことに鉄火は気付かぬことも無く、当然質問をする。

 それに対し、鷲雄は丁寧に的確に答えた。


「それが、僕は上げてるつもりないんですがね?急にタイヤがすごく回ると言いますか、ブレーキが効きにくくて速度が落ちないんですよ。

 まぁこれは多分空回りしてるだけです。心配なさらず。」


 しかしその心配は車のスピードと共に加速していく。

 どんどん車のメーターは上がり続け、挙句の果てに200kmに差し掛かっていた。

 当然、キレやすい鉄火は怒鳴る。


「おいおい!『空回り』だって!?こんなの普通じゃない!!お前、このまま高速で走って、そんでもってどこかに衝突して俺たちを殺そうっていう魂胆じゃねぇよなぁ!!」


 鷲雄は焦って言葉を返す。


「そ、そんなわけないじゃないですか!!ハ、ハイドロブレーディング現象ですよこれ!!」



 ……ハイドロブレーディング現象とは、水浸しになった道路を車が高速で走行すると、タイヤには表面張力で水が引っ付き水の幕を作る。

 これが原因で車は「水上バイク」のように「滑走状態」となる。それがハイドロブレーディング現象である。

 この状態では、ハンドルは切れずブレーキは効かなくなり、非常に危険な身の回りで起こりうる現象なのである。


 しかし今回はさらに「加速」をしていってるので、鉄火はこの現象の他に「何か」異常なことが起きていることは間違いないのだと推理をし始めた。

 そしてその推理をしながら鷲雄に聞く。


「なぁ、今『タイヤ』はどんな感じだ。」


「タイヤですか?当然水が纏って……い、いや、水纏ってる所じゃないですよ!!!

 水が、水が『タイヤを回して』ます!!!

 水が渦になってタイヤを高速で回している!!だから加速してってるんですよ!!

 僕の能力は車の『外傷的ダメージ』を算出したり出来ますが、こんなふうにされては僕は気が付きませんよ!!」


 鷲雄の言う通り、今この車のタイヤはほぼ強制的にギュルギュルと回転させられているのだ。



 それを聞いた鉄火は腕を組み、上を見上げ考える。そして少し外を見て考えようと窓の外を見ると、鉄火は驚愕した。それもそうだろう窓の外にはなんとも不思議な光景が広がっていたからだ。

 その光景を見て最初に言葉を発したのは建琉だった。


「な、なんですかこれは……!」


 ーーバシャーンバシャーン!!


 鉄火達の目にはこの車が走る高速道路は、一面川のように水が流れているという、壮大な光景が映っていた。

 一同は息と固唾を飲んだ。

 轟音を放ちうねるように流れ、この車をタイヤの渦&水力で押し加速させている。

 しかし、この危機的な光景を見た鉄火は即座に鷲雄に提案をする。



「おい、鷲雄!お前『飛行機』にはなれるのか?『乗り物ならなんでも変身』できるんだろ?」



 鷲雄は高速で走る中少し溜めたあと提案に対して発言をする。


「僕の能力……『ファスト・アンド・フューリオス』は確かにどんな乗り物へも変身できます……しかし鉄火さん、飛行機になるのは必要なものが2つあるんです……『十分な滑走路』と『十分な環境』……滑走路の問題は解決できそうですが、いかんせんこの『環境』がふざけてます。無理ですよ。」


 しかし鉄火は引っ込むことなくさらに提案を続ける。


「……この水が少しでも無くなればいいのか?」


 鷲雄は不安げに話す。


「そうなればいいですけど、どうするんです?」


 鉄火は「ちゃんと飛べよ?」と言い残すと、ドアを開け外へと出た。

 少しでもドアを開けるとそこからは水が大量に流れてくるが、すぐ閉めたことで最小限に抑えることが出来た。



 ーー外へと出て車の上に立った鉄火は、「無敵インビンシブル」とつぶやく。すると両腕両脚が黄金に光り輝いた。

 そしてその光る両足を荒れる水の中へと入れる。腰ま

 で入れ終わると、鉄火は叫ぶ。




「スゥーーーッ……『無敵の衝撃てきなしのしょうげき』ィイ!!」




 叫び声が響いた次の瞬間、車を囲う濁った水はそれを避けるかのように、円く水のない空間ができた。

 ……鉄火は無敵となった足でを使い光の速さ、光速で水をかき水の中に衝撃を流し込んだ。

 その衝撃は近くの水を「水の壁」と変形させ、その壁はさらに外から流れてくる水を遮る。

 これらのことがうまく関係し、車の周りに水がない空間というのが生成されたのだ。


 鉄火はすぐさま車内へと戻ると、「早く飛べ!」と鷲雄を急かす。その急かしは鷲雄を精神的にプッシュし、ぐにゃりと変形を開始した。



「うぉおおおお!『ファスト・アンド・フューリオス』ウゥ!!『スカイミッション』!!!」


 ーーブゥゥゥン……グニャニャニャニャ……


 鷲雄が叫んだ刹那、一気に車体は機体へと変化をした。

 変身したのはいわゆる「自家用ジェット」と呼ばれるもので、中にはトイレ、冷蔵庫、キッチンなどが備えられている。

 そのジェットはうまく離陸し、荒々しく流れる水から逃れることに成功した。

 その様子に鉄火は拍手した。

 あの状況から離陸したのに対し、案外機体は安定しそのままフライトを続けた。



 ーー……場所は変わり3人が離陸する前に居た高速道路。そこには水色のスーツを着た、スキンヘッドの男が立っていた。

 その男の胸には金属のネームプレートがつけられており、そこには「納名 豆次おさめな とうじ」と書かれていた。

 それはこの男の名前である。


「納名 豆次」……彼はベンチャー企業の社員であるが、あるヤクザに雇われ鉄火達を殺すためにこの場所へと降り立った男である。


 ……豆次はその場で屈むと、結構珍しい赤い革靴に付いた汚れを拭き取り独り言を呟く。

 その声は若々しくもあるが孤独な男という感じの寂しい声である。


「離婚して……ブラック企業に務めて……どうせこの先いいことなんて無いからさ……この際あいつら殺して金もらお……。」


 濁った水はどんどん豆次の足元に集まり、スポンジで吸収されるがごとく彼の体に染み込んで行った。


「僕の能力……やっと認められたんだ。『ウォーターボーイ』……触れた水、周りの水をコントロールする能力……この汚い水は近くのダムから拝借したものだけど、もう僕のものとして使っちゃおう。」


 豆次は手の汚れをスーツではらうと、てくてくと歩きその高速道路を後にした。




 ーーー場所はまた変わり時刻は午後6時……3人は機内の椅子に座り目的地に着くのを待っていた。

 窓際に座る佐門は、オレンジジュース片手に外を見ながら言う。


「ま、ここまで来ればもう心配ねぇよな〜」


 その発言に鉄火は耳をピクリと動かし、席を立って釘を刺すように返した。

 その際鉄火の席からコップが落ちてジュースがこぼれてしまった。


「おいやめろよ!それホラー映画の『死亡フラグ』だぞ!?そんなこと言った次には、この飛行機墜落するかもしれねぇんだぞ!!」


 怒鳴る鉄火に佐門がまた怒鳴る。


「なんだ?これは映画じゃねぇんだぞ!それに見て見ろ!このジェットはこんなにも優雅に……」


 その時、佐門の話を遮るようにジェット機の電気がパチリと消えた。

 機内は外からの明かりしか確保出来ず、そこへ鷲雄がアナウンスを通じて3人に話しかける。

 その内容は鉄火達を驚かせた。



「えー、皆さんに大変残念なお知らせがあります。誰か知らないやからが、この機体しがみついて離れないという緊急事態が発生してしまいました!!

 見たところスキンヘッドの奴で、その手には『水のようなもの』掴んでそれを機体にヒビのように這わせています。多分それで身体を固定してるんだと思いますがどうしましょう?

 っていうか、こんな上空にどうやって飛んできたんでしょうかぁ!」



 鉄火達はそれに驚いて言葉も出なかったが、スパッと体はすぐに動いた。とにかく3人は操縦席の方へ固まり、防御の体制へと入る。

 鉄火は腕を光らせ、佐門はポケットからパチンコ玉をつまんで構える。



 ーーー…3分が経過した頃。上空105m。

 3人が構えながら機内を凝視していると操縦席とは反対の方向、トイレ側から豆次が現れた。彼の名は3人はまだ知らないが、自然と敵だと言うことは認識できたようだった。

 そのため当然鉄火は名を問う。その問いに対し豆次はポケットに手を入れながら答える。



豆次とうじ……って言います。」



 豆次の名前が場にでると、一対三でしばらく睨み合いが続く。

 その睨み合いは2分続き、その末に先手を取ったのは豆次だった。豆次は両手を前に出し目を瞑る。

 あまり直立のできないこの空間で豆次は少し屈んでいる。

 それを見た3人はより一層構えを強化した。



「ほとばしれ……『ウォーターボーイ』……!」



 ーー……ドゴン……ザブゥゥーーン!



 豆次がそう唱えた瞬間、トイレのドアがガタンと外れ、そこから大量の水が洪水のように流れ出して来た。

 しかしその水は出てきた時は3人を襲うような勢いなのにも関わらず、豆次から前へ流れるとゆったりこちらへ流れてくる。

 そのゆったりとした水は、チョロチョロと佐門の足から喉にかけて登ってゆく。まるで「上に落ちる」ように。


「な、なんだよこの水……。」


「佐門、速く手で水をかき分けろ!」


 佐門はその水を手でかくが、実態のない水はかいてもかいても離れることは無い。

 そしてとうとう佐門の鼻と口を水は覆い、佐門は「呼吸」が出来なくなってしまった。……というよりは、「溺れてしまった」という方が正しいだろう。


「ご、ごふふふふふ……」


「佐門さんん!!鉄火さんどうすればぁ……。」


 佐門が溺れているうちに、水位は鉄火たちの胸元まで一気に上昇をしていた。

 ……これでは豆次も溺れていくのではという疑問が生まれるが、豆次は体に水をまとっており、体と水の間に酸素を挟んでいるので短時間の呼吸はできるのだ。

 しかしその前に、そんな疑問よりもどうやって豆次がこの機体まで来れたのかという疑問の方が先だろう。

 その答えは数分前に遡る。


 豆次は先程の高速道路の場所にて、手のひらから大量の水を下へ水圧によって噴射する。それが「推進力」へとエネルギーが変換されることにより、ロケットのように上空へ発進できたという訳である。


 そのことは能力を見た鉄火は何となく理解をした。


 ……話は戻り、彼らの乗るジェット機は急激な水位の上昇によって高度がどんどん落ちてゆく。

 そんな中、鉄火は今にも溺れ死にそうな佐門の胸を、彼の背中が壁につけるように押すと懐からボールペンをおもむろに出した。


 ーーカチッ


 そしてそれをなんの躊躇もなく佐門の喉に突き刺した。


 ーードシュ……


「何やってるんですか鉄火さん!!そんなことしたら……」


「心配すんな建琉……これが今こいつには必要なんだよ……。」


 鉄火は突き刺したボールペンをくるくると部品を分解していく。すると佐門にはボールペンの筒部分が喉に刺さった状態となった。

 その筒からは佐門の呼吸音が何事も無かったかのように聞こえた。


「こうすりゃ佐門は酸素が確保できる。これで心配なくあいつを倒せるぜ……。」


 そういうと鉄火は佐門を操縦席へ押し込み、ドアを閉める。そして豆次に向かって、水をかき分け前進する。

 それに対し豆次は言う。


「……こっちに来たところで……死ぬのに。」


 ーーーシピッ


 突然鉄火の頬に切り傷がつく。

 一瞬で超スピードによる水圧のカッターによって切られたのだ。

 だがそんなことはなかったかのように、ズカズカと前へ進む鉄火。

 しかし、豆次と数歩間のあくところで突然停止したと思えば、豆次に向けて質問をする。


「……『液体窒素』って知ってるか?」


「……何?何を言い出したかと思えば……。」


「だから、液体窒素だよ。知ってるだろ?つめたぁーいやつ。それはこのジェット機の冷蔵庫に使われているんだ。」


「……それがどうしたと言うんだい?」


 鉄火はニヤリと笑う。そして足元冷蔵庫を蹴りあげた。

 冷蔵庫は見事に粉砕され、中のものが全て水に流れ出した。すると鉄火は後ろへと駆け出し、操縦室の中へ入っていった。


 ーーバシャバシャバシャ……


 鉄火は中へ入ると能力による圧倒的怪力で、機体と操縦室を力ずくで切り離した。


 ーーググググ……ガギィン!


「何やってるんだよ鉄火さぁん!」


 当然鷲雄の反応はこうである。しかし、これは鉄火の作戦の一つである。

 そして無論、操縦席はエンジンなどないので、切り離されたそれはそのまま垂直に落下を開始する。



 ーーゴオオオオオオオオオ……



 3人は叫んだ。何も操作のできない鉄の箱に乗っているのだ。叫ばないはずもない。その落ちる速度はミサイル並みだった。


 ……そしてそのまま落ちゆく操縦席……誰もが悲惨な終わり方をするだろうと想像をした。だが、その想像は数秒後に地面に着くかつかないかのところで、建琉が叫んだことによって裏切られた。




「うわぁぁぁ『蝶のように舞えバタフライ・エフェクト』おおおおぉおぉおぉ!!」




 叫び声とともに操縦室から無数の蝶の羽が生え始める。

 その羽は生えるといっせいに羽ばたき、操縦席は浮遊し、彼らと地面との激突は免れることが出来た。

 そして鷲雄の能力が強制解除されたため、上空に残る機体はまるで煙のように空へと消えていった。

 となればそこに残るのは、大量の水と豆次のみとなる。


 空中にいる豆次はどうにか地上に降りる方法を考える。水をパラシュート代わりに……水をトランポリンのように……色々考えるが、その思考の隅である化学変化が行われている。それに今豆次は気づいた。


「水が冷たいなぁ……僕の能力は冷却する能力なんてないのに……」




 しかし気がついた頃には遅かった。


 考えている刹那、空中で豆次とその周りの大量の水は、冷気を放ちながら爆発した。


 ーーーバフン……




「ぎゃぁあ両手が吹っ飛んだァァ!!冷たいいいい!!」




 空中で豆次は苦しんだ。

 この化学変化は液体窒素と水によるもので、液体窒素と水は合体すると「膨張」を始めるのだ。

 その膨張は鉄の金庫をもぶち壊す威力であり、ある意味爆弾なのだ。


 そして豆次の周りには水などなく、代わりに彼の大量の血が舞っていた。


 落下し出血していく豆次……彼はもう死を覚悟していた。助かっても五体満足で過ごせないということはもうわかっているからだ。

 豆次は上をむく。そして最後に涙を流し冷静を取り戻す。

 ……彼はそのまま自然落下し、ある高層ビルの屋上に潰れるように終わりを迎えることとなった。



 ーーー時刻は午後7時……場所は落下地点でもあり、目的地でもある「TK都」の真ん中の区……「城岩区」……。

 場所へはもう着いていた。鉄火は操縦席のGPSを見て、計算してジェット機を切り離したのだ。


 4人は無事に目的の場所へついたことに安堵していた。多少の怪我は負ったものの、刺客を倒していきながら来れたことはとても大きなことだった。

 しかしそんな安堵の中、鷲雄は3人にいい知らせとは言えないことを話し始めた。



「……ここまでみんなで来たのもなんだけど、僕はここで抜けます。僕には妻子がいて、借金を理由に脅されて、そんでここで死ぬわけにゃ行かないんですよ……。

 だから今日限りで……そういうことです。」



 3人は下を向く。少し寂しい感じが3人の内心に漂った。理由を聞いて少しでも理解をしてしまった……。

 少しの理解というのは、してしまえばもうそれは理解してしまったことに変わりはないその事実なのだ。

 3人は受け入れるしかなかった。短い間、仲間でいてくれた一人の男の背中を見ながら、鉄火達3人は目的の場所へ歩みを始めた。

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