第6話 いよいよ魔法とスキルです・・・なんか違う

 主神ソレイユ様(実際は何者なのかは不明)が俺の脳内にお引越し。頼もしいといえば頼もしいが、一体どうしたらいいんだろね。

「ソレイユ様、ご遺体を安置するためのベッドか何かを魔法で作ったりできますか?」

「しか・・」

「もうそのネタはいらない!できるの?できないの?」

「将来的には可能です」

「今はできないんですね。理由を聞いても?」

「体脂肪が不足しています」

「え?なぜに体脂肪?それに結構腹回りに付いていますよ」

「ジョニダン・イジーチには魔力肝が存在しないため、外部魔力の取り込みができませんでした。現在は素体を改変し、魔力を体脂肪として蓄えることができるようになっています。体脂肪を増加させる方法は食べて増やす。魔法攻撃を浴びてそこに含まれる魔力を吸収する、主にこの二つです」



 すごい長文が返ってきたと思ったら、内容もなんかすごいよ。食事で体脂肪増やすのは分かったけど、魔法攻撃を吸収するんですって、奥さん!

「ジョニダン・イジーチに配偶者はいません」

 いや、そんなことは分かってますよ・・・って、ああ、そうですね。脳内にいらっしゃるんですもんね。そりゃ、そうか。

「魔法使用の前にスキルの確認を推奨します」

 スキルっ!異世界っぽくなってきましたよ。でも、どうやって確認すんの?冒険者ギルドで水晶に手を置く?どこかの魔王様みたく「あどみにすとれいたー」とか叫ぶ?それとも・・・うん、分かった。分かってしまった。そりゃそうだよね。自分ことなんだから、特に掛け声や道具なくても分かるよね。それにしても・・・。




 スキル【ちゃんこ】ってなんだよ!【立ち合い】ってなんだよ!もう死んだんだから相撲から離れてもいいだろっ!もう髷(まげ)もなくてザンバラだし!

 はー、はー、なんか無言で激昂して変態っぽくなってしまった。それにしてもこのスキル何?

「ソレイユ様・・・」

「スキル【ちゃんこ】は一般的には食料として利用できないものでも食材にすることができます。料理や食材に関するその他のスキルが派生する可能性があります。【立ち合い】はありとあらゆる立ち合いを有利に運ぶことができます」

 うーん。つまりラノベみたいにスキルを身につけていくうちにそれが統合されて上位スキルになっていくとかじゃなくて、この【ちゃんこ】【立ち合い】が上位スキルで、ここからいろいろ派生するってこと?

「その通りです」

 ソレイユ様の自動音声っぽい声の中に「ふふん」みたいな誇らしげなニュアンスが含まれているような気がした。

「うーん、物は試しだ。早速実験!」




 俺はソレイユ様のご遺体に手を合わせて、必ず迎えに来て綺麗な棺か寝台に安置すると誓った。そして黒人系教会で歌われる霊歌、葬儀用の祝詞、観音教など厨二病をこじらせ過ぎて身につけてしまった諸々の唱える系を捧げた。

「スキルが派生しました」

 脳内でソレイユ様のアナウンスが聞こえたので気持ちをそちらに向けると、確かに増えていた。


スキル

【ちゃんこ】【立ち合い】【立ち合い・儀礼】【立ち合い・祭祀】【歌唱】【祭司】


 なるほど。これはなんかする度にゴリゴリ派生しそうだねえ。なーんか、あれやこれや面倒ごとに巻き込まれそうな匂いがプンプンプンだねえ。




「十秒後に地上に転送を開始します。衝撃に備えてください」

 また唐突に・・・ゲロを吐く覚悟はできたので、俺は立ち上がった。持ち物は付けてる「まわし」だけだけど。ほんと、これからどうなるんだろう。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る