第2話 そんなこんなでジョニダン・イジーチ

 なんだかんだでナマハゲ的祭りも終わり、「なんだあ、イホージンかー」っことで、村に連れて行かれた。


「結局、あんたはイジーチって名なのかい?」

 第一村人だったトキオ少年の肝っ玉母ちゃん(ローザさん)にそう聞かれたので、

「いやいや、伊地知(いじち)は苗字、家名だよ。家名がそのまましこ名。んー、戦士としての呼び名。階級は序二段。伝わるかな?」

 と答えた。するとまた変なタイムラグが出てからの、トキオの母ちゃんのリアクション。

「なんだい、ジョニダン・イジーチっていうのかい?なんか、えらい人みたいじゃないか!」



「えー、全然オークじゃないじゃん」

「そーかー、えらいのかー」

「えへへへ」



 村人ーズのリアクションはそんな感じ。もうちょっと警戒心があってもいいと思うよ。あと、序二段は階級の呼称で俺の名じゃないよ。


 うん。もう、それでいいかな。そんなわけで今日から俺はジョニダン・イジーチ。決定。


 実は俺の本名は伊地知 東京(いじち ときお)といって、この村のトキオ少年とかぶるんだよね。だからちょうどよかった。


 東京と書いてトキオって、頭悪そうだよね。産みの親が戯れにつけたのが丸わかり。両親ともに育児放棄で五歳で施設に入った。母親はどんな人か知らない。父親らしき人は入所の手続きの時に、「子どもの代金よこせ」と暴れて怪我をさせて、ついでにあれこれ傷害の余罪が出て服役中に死んだらしい。中学卒業してオオナルオ部屋の新弟子になるときに聞いた。


 ま、そういうわけで序二段の伊地知改めジョニダン・イジーチ、よろしく。







 あのー、ちょっとー、村人の皆さーん、そんなにあっさりと各ご家庭に戻られると少々困るんですー。俺のこの後どうしたらいいんですかねー。



 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る