第27話 決断

次の日、新堂先生は14時頃に病棟に来た。


「猫は来てる?」


私は頷いた。


「確かに猫が深春君の病室に入っていくのを見ました。」


「じゃあ、実行できるな。」


新堂先生は深春君のカルテを見ながら、そうつぶやいた。私は最後の最後まで、迷っていた。深春君がやっと見つけた安らげる時間を、奪うことを。新堂先生に私は我慢できず、抗議してしまった。


「新堂先生、やっぱりやめませんか。」


「ん?」


「猫が来れなくなった後で、本当のことを説明するじゃダメなんですか?」


新堂先生は私をじっと見た。


「...いずれ猫は来なくなる。急にこなくなったと思って、不安になってまた来るのを待ち続けるぐらいなら、さっぱり別れさせてやるのが優しさだろ。」


新堂先生はそう言いながら、私を見つめた。


「北野が納得しないなら、協力しなくてもいい。深春にはそばにいて支えてくれる人が必要っていう、それだけだ。」


そう言い終わると、新堂先生はナースステーションのドアを開けた。新堂先生は私を見て笑った。



「どうする?決めて、北野?」

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