第15話 ゆめのありか

「深春くん。気づいているかい?」


そう言って男は、僕に笑いかけた。


「ここは、どこだかわかるかい?」


「は…、」


そう言うと男は、困った顔をして僕を見た。


「ちゃんと周りを見てごらん、ほら」


男は戸惑っている春陽の手を強く引いて、立ち上がらせた。春陽は嫌そうに男を睨んでいる。男は春陽を指差して、僕に言った。


「これが君には何に見えてる?」


春陽は泣き出しそうな顔をしていた。

僕は急な展開に状況を見込めないまま、


「なにって、春陽は人間ですよ。ていうかあなたは誰ですか、一体僕たちに何の用ですか?」


と尋ねた。男は春陽の手を雑に離した。


「何って、」


5時のチャイムが鳴った。


「僕は君の××だよ。」


それはあの夢と酷く酷似していた光景だった。

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