夢のありか
第11話 不思議な夢
最近、不思議な夢を見る。それは悪夢というには大袈裟だし、けれどただの夢と言うには不気味すぎる。とにかく変な夢だ。僕は病院のような白いベットに座っていて、女の人が心配そうにしながら僕に話しかける。何が変かと言うと、その肝心の話している内容が聞き取れないのだ。
「あのね、深春くん、何度も説明してるけど君は×××に××している○○でね、君が描いている××は全部○○で、××じゃないのよ。」
そこが学校でも家でも無いことはわかる。ただ、その女の人も知らないし、何回聞いてもどうしても肝心な内容が聞き取れない。この夢のおかげで、最近は絵にも集中できないし困っている。誰かに相談しようにも、相談する相手などいないし。なんて考えていて、ふと思いついた。春陽なら、なんと感じるだろうか。春陽も人間だ。夢の一つや二つ見るだろう。春陽なら、この夢をどう解釈するか、聞いてみたい。僕はもう待っているだろう彼女のことを思い浮かべながら、早足で美術室へと向かった。
「春陽、お待たせ」
そういって、美術室に入ると春陽はいつもと変わらず椅子に座っていた。僕は彼女の正面に座り、スケッチブックを開く。
「今日もよろしくね」
と挨拶を交わしてスケッチを始める。今日は立ち姿を描きたかったので、春陽には立ってもらっていた。
「まず10分くらい立ってもらって、また見たい時に立ってもらうんだけど、いい??」
と、聞いたところ、
「ずっと立てるよ」
と言われたので、言葉に甘えてずっとたってることにした。そうやって春陽が自分の意思を言うのは珍しいので、僕は彼女の意思を尊重することにした。彼女は少しも動くことなく、やっぱり窓の外を眺めていた。僕はスケッチブックの上で手を動かしながら、あの話題を出した。
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