第7話 昨日の続き

次の日、僕は昨日の春陽のスケッチの続きを描き込もうと、ワクワクしながら美術室に入った。すると、なぜだかそこには春陽がいた。昨日と同じ体制で、窓際に座っている。僕は何にも言えずにその場に立ち尽くした。すると春陽が気付いたようで、こちらを振り向いた。お互いを見つめ合う。しばらくそうして、僕はなんでここに春陽がいるのかを聞かなければならないと思った。部屋のドアを閉めて、一歩春陽に近づいた。


「あの、率直に聞くけど、なんでいるの…?」


春陽は本当にわからないと言った顔をした。まるで僕が間違っているみたいな、そんな気分になる真っ直ぐな視線だった。春陽は小さく口を開けた。


「モデルになってほしいと、頼まれたから。」


僕は一瞬考えたが、すぐにそうか、と納得した。今までは、相手の方からモデルなんて散々だと言われ、一日限りの事がほとんどだったが、昨日春陽はそんなことをしていない。昨日は時間が来たから終わってしまっただけで、春陽は嫌だとは言っていない。だから、春陽は来たんだ。ここに来てくれたんだ。僕は高ぶる気持ちを抑えて、確認のために尋ねた。


「あの、今日も付き合ってくれるの?」


春陽はすぐにこくりと頷いた。僕はドキドキとうるさい鼓動を抑えて、春陽の前の席についた。春陽は昨日と同じ体制でスタンバイをしてくれている。僕は、


「じゃあ、遠慮なく…。」


と言って、机の上に置きっぱなしにしていたスケッチブックを手に取って、描き始めた。春陽はたまにあくびをするだけで、ほとんど動かない。僕は昨日より更に細部までこだわって、スケッチを続けた。

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