コーラーコーラ

 僕のフィアンセは、いつも仕事で出回っていて年に二、三度しか家に帰ってこない。

 帰ってきては、ごめんなさいと言って世間話もできない間に出て行ってしまう。

 携帯電話も持たず、職場の連絡先も住所も教えてくれない彼女との関係を疑いたくなったり、言い表せない寂しさに苛まれることは何度もあったが、お互いに別離を選ぶことはなかった。

 別れ話をしたことも一度や二度ではなかったが、何よりも彼女を愛していた。

 最近、そんな僕と彼女の関係に小さな変化があった。

 ある日彼女に知らされた奇妙で特別なコーラ『コーラーコーラ』は、僕の行きつけのダイナーで毎週月曜の朝に僕だけが注文できた。

 普通のコーラが出てくることもあって、その時は彼女が応答できない時なんだそうだ。

 コーラーコーラのビンの蓋を開けると、彼女の声が聞こえて中のコーラが減り始める。

 コーラが尽きるまでの間、彼女と話すことができた。

「Hey,My──」

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