50ー50

 50パーセントの確率と聞くと、高いと思うだろうか、低いと思うだろうか。

 天気予報の降水確率だと高いと感じるし、手術の成功率と言われるとかなり低く感じる。

 湿度ならいい感じだし、野球選手の打率として考えると、実現不可能なほどに高い。

 しかし、この場合はどうだろうか、今まさに椅子と机に拘束された俺の目の前に用意された50パーセントは──。


”ボタンを押せば彼女を助けることができるが、50パーセントの確率で隣の部屋の少年の首が飛ぶ”


 そう書かれた紙が目の前の机に貼られている。

 その奥で、2年前から付き合っている彼女が手足を縛られ、ぐったりと横たわっている。

 彼女の下には血溜まりができ始めていて、彼女の命がタイムリミットなのだと暗に示していた。

 今ボタンを押せば彼女は確実に助かる。

 しかし、少年は…。

 幼い命を奪う可能性に手が震える。

 命を天秤にかけることなんて、できない…できないよ──。

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