守るべきもの
フランシスコという男は、情に厚く、家族や友人を大切にする人間であった。
その一方で、すぐにカッとなる悪い癖もあった。
特に、エスポサ(妻)やイハ(娘)に対する侮辱や差別的な発言は許せなかった。
それらの言葉を聞いた次の瞬間には、フランシスコの拳が相手の顎を直撃し、脳を揺らしていた。
国境を越えてからは、差別も暴力も、より激しくなった。
ある時、フランシスコは、友人が路地の隅で三人の男に袋叩きにされているところに遭遇した。
カッと目を見開いた彼は、手前にいた男を蹴り飛ばした。
さらに、その隣にいた男の顎に固い拳を喰らわせると、残った一人と肩を組んで、逃げていった。
問題はそこからだった。
友人は目を開いたまま横たわっており、蹴り飛ばした男の頭からは血が垂れていた。
一人の男と二つの死体だけが残された。
薄暗い独房の中、フランシスコは、本当に守るべきものは何だったのかと、ずっと考えていた。
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