ショートショート
二人掛けのソファに腰を沈めてプロ野球中継を観ていると、文庫本を持った彼女が隣に座ってきて、文庫本の間から蛙がプリントされた若草色の栞を取り出しながら言った。
「最近、ショートショートって流行ってるよね」
「うん。でも、俺はあんまり好きじゃないかも」
「なんで?」
「だって、短すぎるでしょ」
そう言って視線を向けた液晶画面の中では、背番号42の選手が打席に向かう途中であった。
打席に立った選手の膝元に目を向けると、ハーフパンツかと疑いたくなる程の極端に短いベースボールパンツの裾は膝の上にあって、ソックスとの間に褐色の膝が顔を覗かしていた。
スライディングをしたら膝が擦りむけてしまいそうだし、デッドボールが直に当たったら痛そうだ。
だから、ショートショートはあまり好きなスタイルじゃないんだよな。
一ページ繰るごとに、ふぅと一息つく変な読み方をする彼女を他所に、バットがボールを叩く快音が響いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます