素性荒らし
彼女の誕生日に高級フレンチレストランで豪華なディナーを楽しんだ後、彼女を家に送るために愛車であるスカイグレーのクーペに向かって彼女の腰に手を回しながら歩いている時だった。
目の前で何かの影が動いたかと思うと、クーペのフロントガラスに数枚の紙が貼られており、影が残した風になびいた後、はたりとフロントガラスに覆いかぶさった。
まさか…あれは…素性荒らしか!
「リョウ君、何あれ?もしかして巷で噂の──」
「見ちゃだめだ!」
そう言って、彼女の視線を遮るようにして抱き着くが、もう手遅れだった。
「ちょっと離してっ。説明してよ」
「うぅ…」
「彼女が三人もいるってどうゆうことよ!」
怒りに任せた彼女がボンネットを叩く。
その奥で、目を持った紙が不気味に笑った気がした。
”二階堂リョウには彼女が三人いる”、”早穂田大学卒というのは嘘”、”ヒモ男”、”自慢げに乗り回してる車は盗難車”、”殺人犯”──。
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