焼肉のたれ

 友人の家に遊びに行った時のことだった。

 いい歳した大人が二人、時間も忘れてテレビゲームに熱中していた。

「いい加減腹が減ったな」

「飯にするか。外食には遅い時間だし、家で焼肉でもどうだ?実は肉が余ってるんだ」

 友人の思わぬ提案に腹が鳴った。

「決まりだな」


 しばらくすると、友人がホットプレートと丁寧に捌かれた厚切りの肉、焼肉のたれなど一通り必要なものを持ってきて、テーブルに並べた。

「そんじゃ、乾杯!」

「乾杯!」

 缶ビールを仰ぐと、焼ける肉の香ばしい香りが鼻を突き抜けた麦の香りと混じり合い、より甘美に引き立った香りを喉の奥へと押しやってきた。

 たまらず焼けた肉をたれにつけ、頬張った。

「うまい!肉もそうだが、このたれがいい!独特の肉の臭みを生かし切っている」

 家にも欲しいなと思って焼肉のたれの瓶に目を向けると、そこにはキャッチーなフォントでこう書かれてあった。


『人肉向け焼肉のたれ☆』

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