ランダールの灯

 その昔、アメリカ北西部の小さな街に、野球チームの本拠地がありました。

 田舎の貧乏球団で、選手は逃げていくばかりで、FA選手どころかドラフトで指名した選手とすら契約に至れなかった事も多々ありました。

 地元のファンも応援はしていましたが、万年最下位にさすがにがっくりしていました。


 あるオフシーズン、控え選手同士の小さなトレードで、ランダール・グレイという選手がやってきました。

 彼は開幕から絶好調で開幕10連勝に大きく貢献しました。

 勢いをそのままに、引退間近のベテランと新人だけのチームは球団史上初の地区優勝を果たしました。

 ワールドチャンピオンまであと一歩というところで敗退してしまいましたが、街は大いに盛り上がり、翌年への期待が膨らみました。


 しかし、翌年のグラウンドにはランダールの姿は無く、チームは再び最下位へと沈みました。

 伝説の大火は、今となっては灯として語り継がれているだけです。

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