ポン太の樹
ある山に、ポン太というたぬきがいました。
ポン太は、たぬきの学校に通う小等たぬきでした。
ポン太の放課後はいつも決まっていて、川辺に立つ大きな柳の樹にもたれかかっては遠くを流れる雲を眺めたり、冷たい川の水をその小さな足で感じたりして過ごしていました。
ある日の午後、ポン太がいつもの川辺に着くと、樹の周りに先客がいました。
先客は、二本足で華麗に歩き、余った足で鋭く光る棒を持っていました。
その生き物は、棒を強く握りしめると樹の皮に裂け目を作りました。
それを何度も繰り返します。
ポン太は、おっかなくて茂みの中でじっと見ているだけしかできませんでした。
日も沈み出した頃、大きな音を立てて樹が倒れました。
倒れた木は四角い箱に括り付けられると、どこか遠くへ運ばれていきました。
ポン太の樹は失われました。
その夜、パパたぬきがもうこの山には居られないと言って、ポン太は引っ越すことになりました。
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