最近のハト

 広場のベンチに座って人の流れに目を動かしていると、その流れの中に身を置く一羽のハトが目についた。

 ハトは人に臆することなく、悠々自適にぽっくるぽっくるとしている。

 最近のハトはすっかり人に慣れたやつばっかりだ。


 昼飯の後、ふらふらと歩いてる時だった。

 信号が赤になったため、横断歩道の前で立ち止まっていると、対岸の人の列の最前列に一羽のハトがいた。

 まるでハトが人を連れて歩いているみたいだと思った。

 それにしても妙だと思った。

 ハトのやつ、一歩も動かないでいやがる。

 まさか──と思っていると、信号がピッポと音を立てて青になった。

 それと同時に、ハトがこちらに向かって歩いてくる。

 おいおい。

 最近のハトは信号も渡れるらしい。


 昼休憩が終わり、仕事に戻った。

 ハトですら交通法を守る時代なのに、仕事が減らないのは何故だと悪態をついて、駐車違反の切符をスポーツカーのフロントガラスに貼りつけた。

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