ダイヤモンドバックホテル
バックパック一つ肩に担いで旅をする流浪人、それが俺という人間で、この生活を始めてかれこれ2年が過ぎようとしていた。
それは、残暑どころではない暑さが冷めやらぬ10月のアリゾナの荒野で、小さな岩の影で休憩をしている時だった。
突然、俺の目の前に場違いなハワイアンの立派なホテルが姿を現した。
暑さで頭が沸いていたから気付けなかったのか、本当に唐突に現れたのか判断がつかない。
俺は少し水を貰おうとホテルに近づいた。
「ダイヤモンドバックホテルか」
名前からしても高そうだな、泊まるのは止そう。
そう思っていると、ホテルマンの男が言う。
「旅のお方、一泊1ドル99セントです。いかがですか」
「安いな、なら泊まることにしよう」
翌朝、ベッドで目を覚ますと、看護服を着た女が枕元に立っていた。
慌てて起き上がろうとするが、うまく体が動かせない。
「まだ安静にして下さい。ガラガラヘビに噛まれたんですから」
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