散財の丘

 おいらの家の近くにね、散財の丘ってのがあるんだわ。

 家の近くにあるっていうより、近くに引っ越したっていう方が正しいかもね。

 あれを見たら引っ越さずにはいられなかったのさ。

 そのお陰で、今では優雅な暮らしができてるんだしね。

 ほら、見てごらんよ。

 また今日も一段と金を持ってそうな男がスポーツカーに乗ってやってきたよ。

 ほらやった!

 まるで神にでも捧げるかのように踊り狂いながら、金銀財宝をばら撒いていったね。

 変な宗教でも流行ってるのかね。

 そんなことよか、さぁさぁ、回収回収っと。

 うひょー、これは大金になりそうだね。

 儲け儲け。


*****


 ある日、俺は帰省のために車を走らせていた。

 初の帰省だったためか、街灯の1つもない人気のない道に迷い込んでしまう。

 夜になる前でよかったなと思っていると、丘で男が踊り狂いながら紙切れをばら撒いているのが見えた。

 気味が悪いなと思い、俺は先を急ぐことにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る