情報ヘンダーソン

 僕にはプロの漫画家という夢がある。

 何度も新人コンテストに応募してきたけど、1次審査でさえ突破できた試しがない。

 正直、向いていないのではと、半ば諦めた気持ちになっている。

 高校からの帰り道、商店街の掲示板にコンテストのポスターを見つけた。

 小さいコンテストだけど、丁度いいかも。

 これでダメなら──。

 気付くと隣に男が立っていた。

 彼は背が高く、ダーティブロンドの髪と眉の下の青い瞳で掲示板を見つめて立っている──それも酷く怯えた表情で。

 何の情報を──。

「勇一、いいとこにいるわね。」

 買い物に来ていた母に鉢合わせた。

 重たい荷物を持たされ、僕は再び帰路に就いた。



 僕は、コンテストの結果を見るため、商店街へと足を運んでいた。

 ここの掲示板が一番早い発表らしい。

 小さく入賞と書かれた僕の作品とペンネームを見つける。

 諦めるために描いたはずなのに、なぜか僕は小さくガッツポーズをしていた。

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