好きと言うには天気が悪い
私には好きな人がいる。
その人は、一つ年上の同じ高校に通う三年生で、生徒会長を務めている。
剣道部でも部長をしていて、私にもたまに稽古をつけてくれる。
もちろん勉強の方もキレッキレで、その端正な顔立ちと紳士的な立ち振る舞いに、学校中の女子の視線を集めている。
つい先日も新入生で一番かわいいって噂の子に告白されたって話を耳にしたばかりだ。
私の知るところ、これまで挑んだ子の戦績は、0勝十四敗。
見事なまでに完封負けだ。
ふとカーテンが揺れて窓から風が入ってくる。
その先に見える生徒会室に先輩の姿を見つける。
それにしても、どうして頑なに断り続けるんだろう。
カワイ娘ぞろいなのに...もったいない。
いっそのこと私も当たって砕けちゃおうかな。
そう思って窓の向こうに目を向けると、空には厚い雲がかかっている。
「曇り空に告白なんて...。」
そうやって天気のせいにして、今日もまた、気持ちを奥へ引っ込める。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます