好きと言うには天気が悪い

 私には好きな人がいる。

 その人は、一つ年上の同じ高校に通う三年生で、生徒会長を務めている。

 剣道部でも部長をしていて、私にもたまに稽古をつけてくれる。

 もちろん勉強の方もキレッキレで、その端正な顔立ちと紳士的な立ち振る舞いに、学校中の女子の視線を集めている。

 つい先日も新入生で一番かわいいって噂の子に告白されたって話を耳にしたばかりだ。

 私の知るところ、これまで挑んだ子の戦績は、0勝十四敗。

 見事なまでに完封負けだ。

 ふとカーテンが揺れて窓から風が入ってくる。

 その先に見える生徒会室に先輩の姿を見つける。

 それにしても、どうして頑なに断り続けるんだろう。

 カワイ娘ぞろいなのに...もったいない。

 いっそのこと私も当たって砕けちゃおうかな。

 そう思って窓の向こうに目を向けると、空には厚い雲がかかっている。

 「曇り空に告白なんて...。」

 そうやって天気のせいにして、今日もまた、気持ちを奥へ引っ込める。

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