そのホームラン、アウトです
お客さん知ってるかい?
アウトになったホームランの話。
ファウルになったとか、日本から来た忍者に盗まれたとかじゃない。
あれは正真正銘のホームランだった。
ミラクルパークには、外野席の奥に大きなグラブのオブジェがあった。
そのオブジェは、球場の象徴のようにファンから親しまれていたよ。
でもある時、それは悪魔に姿を変えた。
そう、あれがホームランを捕りやがったんだ。
特大の逆転サヨナラ3ランだった。
いや、別にあれが動いたわけじゃない、お客さん酔ってるね。
すっぽりと打球が収まっただけさ。
なんて粋な演出なんだと場内は沸いた。
でも結果はアウトになった。
選手も監督もファンも必死で抗議したが、結局、スコアボードの9回裏の0が変わることはなかった。
怒ったファンは、グローブの革を剥いで綿を割き、散り散りにした。
あの華麗な放物線をなかったことにはできないと。
だから私もお客さんに話をするよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます