神になる

 オレは師匠に連れられ、とある海へ来ていた。

 その海は月下に怪しく煌めいて、どこからか押し寄せてくる波がオレの足元を濡らす。

 師匠が言うには、これは卒業試験らしいが、今のところやっている事は卒業旅行だ。

 案内人と呼ばれる女が話しかけてくる。

「瓶はお持ちになりましたか。」

「ここに。」

 小さなガラス瓶を取り出して見せる。

 昨日、師匠と体験工房で作ったものだ。

 こんなもので一体何をさせようというのだろうか。

「それでは、その瓶でお好きなように海水をお取りください。」

「海水を?」

 思い出に持って帰るってか、これじゃ本当に卒業旅行じゃないか。

 まぁ、それも悪くないかと小瓶に海水を満たす。

 瓶の中で何か煌めいている。

 その様子を見ていた案内人が言う。

「しっかりと文明のある世界を掬われましたね。」

 世界を掬っただと?

 そこへ師匠がやってきて告げる。

「おうし!卒業試験だ。その世界を救ってみせろ。」

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