once
ただ一度でいい、君のその頬に触れたい。
決して届かないと分かっていながらも、この手を止めることができない。
いつもそうして気が付くと、泣いていて、椅子に体を預けて目を閉じる。
ただ一度でいい、その翡翠色の瞳の中を覗いてみたい。
その目に僕が映ることは永遠にない。
でも、それでも、どれだけ違う境遇にいても、きっと分かり合えるって、思ってる。
ただ一度でいい、僕の声に答えて振り返る君の笑顔が見たい。
君が背中を見せてくれたことは一度だってないけれど。
いつかそんな日が来るんじゃないかって、そんな気がしているんだ。
ただ一度でいい、風に揺られたその髪から運ばれる香りを確かめたい。
そんな都合よく風が吹くなんてこと、万が一にも起こらないって理解してる。
でも、その万が一が僕と君の間にはあるって信じてる。
ただ一度でいいんだ。
そう願って、届かないと知りながら、その向こう側へと手を伸ばす。
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