空の監獄

 人は自由を求めて、空を見上げるんだ。

 そこに例外はない。

 昼間の青い空を見る時も、雲に覆われた空を見る時も、夕焼け空を見る時も、星空を見る時も、人の内は自由を求めているんだ。

 そんなことはないっていくら言ったって、それは変わらないんだ。

 僕もそうやって空を見上げるんだ。

 まるで空が自由の象徴みたいに。

 でも、そうしているとそれはおかしい事なんだって気付くんだ。

 空は監獄に囚われているんだって。

 人に伝えるために、その青を届けるために、世界を見守るために、着かず離れず、そこに囚われているんだ。

 この世界で一番の囚人なんだ。

 目の前にどんなに気に食わないことがあっても、干渉することはできなくて、そこを離れることは許されていないんだ。

 人が見上げるその先に、不確かな一定の距離をもって在り続けるんだ。

 それに気づくとね、いつだって空は青いんだ。

 そんなものを僕らは「空」って呼ぶんだ。

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