お訪ね

「お尋ね申し上げますが、シギリアという女を知りませんか。肌が白くて背の高い女です。」

「さぁ、知らないね。外人さんかね。ここらで人を探したいんなら、山を一つ越えた町に行くといいよ。」


「お尋ね申し上げますが、シギリアという女を知りませんか──。」

「聞いたことがない名前だが、似たような人を知っているよ。確か、川の向こうの小さな家に住んでいると聞いているよ。名前は確か、アンナと言っていた。」


「お尋ね申し上げますが、アンナという女を──。」

「ああ、そんなら川沿いに歩いて3つ目の角を曲がった先、松の木の向かいに建っとる家に居ると思いますぜい。」


「お尋ね申し上げますが、こちらアンナさんのお家でしょうか。」

「はい。少しお待ちください。」

 そう言って扉を開けた彼女の顔は、幽霊でも見たかのように酷く青ざめる。

 肩を腕で抱く彼女を見て僕は言う。

「良かった覚えてくれていたんだね。嬉しいよ。」

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