100年に一度の美食の祭典

「──皆様、ようこそおいで下さいました。」

 舞台の上の男が深々と頭を下げ、言葉を続ける。

「100年に1度の美食の祭典”じんかん祭”、その名に恥じぬ美味をお届け致しましょう。ご存じの方も多いと思われますが、メインとなる食材はただひとつ。そちらを楽しんでいただきます。初めての方は、どんな食材なのか考えを巡らせてみるのも面白いでしょう。祭りの名前にヒントがあるやもしれませぬ──。」


 隣に立つ男が話しかけてきた。

「神様の神に、金柑の柑で、”神柑祭”って言うらしいぜ。」

 神の柑か、柑橘類の何かだろうか。

 未知の食に対する期待が膨らむ。

「あんたはそれを食った事あるのか?」

「何言ってんだよ。あるわけないだろ。100年に1度と言ってるじゃねぇか。どんなモノかも知らねぇよ。」

「なるほど、確かに。」

 あれ、でも...さっき司会の男は──。


「──それでは。”人間祭”、ここに開催いたします!」

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