第3話疑惑
黒井川と堀は中村建設に向かってた。
会社は騒然としていた。何せ、社長が亡くなったのだから。
2人は、聞き込み調査を始めた。
週末に中村秀樹とシュノーケリングに出掛けた人物はいないように思えた。
女性事務員が大桜酒造のオーナーの中村を紹介した。
亡くなった、社長の実の兄である。
2人は、大桜酒造に向かった。
「六代目、警察の方がおみえになりました」
「案内して!」
「どうぞ、警察の方、六代目がお待ちになってます」
「どうも、愛知県警の黒井川です。皆さん、あなたを六代目と呼ばれているようで」
「あ~、この大桜酒造は長くてね、私が六代目の社長なんですよ!」
「そうでしたか、弟さんがあんな事になりお察しします」
「弟は事故なんでしょ?」
「それはまだ、分からなくて。死因を解明中です」
六代目は女性秘書に、お茶を出させた。
「しかし、この酒蔵は時代を感じさせられます」
「明治時代からでね。この【星の雫】が主力商品なんですよ。うちは、木樽で作っている。大事な杜氏がみんなで作り上げたんですよ」
「しかし、美味しそうだ」
「刑事さん、一杯いかがです?」
すると、
「堀君、建設会社の事を洗ってみてくれる?」
「はっ!」
堀が車で出て行ったのを確認してから、
「六代目、一杯貰えますか?」
六代目は茶碗と星の雫の一升瓶を持ってきた。
「では、頂きます。うん、実に飲みやすい。これは、ひやが一番ですね?」
「実に良い舌を持っておられる」
黒井川は茶碗をテーブルに置くと、
「六代目、2日前の昼頃、どちらにいらっしゃいました?」
「刑事さん、六代目は辞めて下さいます?中村で結構です。2日前、私はここの事務所に居ましたよ」
「そうですか~」
「何なら、他の人物にも聞けばわかると思いますよ!弟は事故ですよ!変な詮索は無しにしましょうや」
「【星の雫】美味しかったです。では、私はこれで失礼します」
「また、何時でも飲みに来て下さいな」
黒井川は、にこりと笑い大桜酒造を後にした。
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