第3話 真夜中のガールズトーク
あれからすぐ、指名が入ったアタシは、卓から離れた。
「タケちゃん!やっと来てくれたの!?もう、アタシずっと待ってたんだから!」
いつも指名してくれるタケちゃんの隣に着席する。売れてなかった頃から、アタシをとても気に入ってくれて、それなりのペースで来てくれる、大切なお客様だ。
しばらく、タケちゃんがご無沙汰なのを可愛く責めていると、店を出て行く社長と性欲クソ野郎が見えた。
あいつ、ほっといたら危ないわ……。
思わず眉間に皺が寄る。
「ア……アイちゃーん、顔、怖いよお」
「あん、タケちゃんごめんね、タケちゃんの指名が久しぶりすぎて、アイちょっとすねちゃったの」
ごめんねえ、と言いながらタケちゃんの手の上にに優しく手を添える。
「いやーもう仕事が忙しくて忙しくて!」
「もう、男の人ったらみーんなそう!
でも、こうして来てくれたんだもの、なんだかんだ許しちゃうのよねえ」
結局、タケちゃんは、お詫びと言って、とってもいいシャンパンを入れてくれたのであった。
「あ、アイちゃん!どうだった?あの彼から何か聞き出せた?」
社長の女……それはちょっと暴言だったわ、社長ご指名のミヤビちゃんが、更衣室で声をかけて来た。
「想像してたよりひどかったわ……絶許」
「やだあ、物騒!……でも、大切なお友達の選んだ人なら、認めてあげるしかないんじゃなあい?」
「なによ!他人事だと思って!もー、ほんとやだ!……ああ、こんなんだったら、他の男に取られる前に、アタシが結婚しようかしら!!!」
彼女に恋してはないけれど、独占はしたい。
そういう意味での結婚もアリなんじゃないの……?などと思うくらいには追い詰められている。
「ていうかそもそも、あの男が一方的に惚れてるだけで、まだあの子の方はお友達としか思ってないもの。大丈夫よ……今までだってそうだったんだから」
「ふーん、そう?ならいいんじゃない?でも、なんかそのお友達も大変ねえ、愛が重い男たちに囲まれて」
「やだ!アタシ、体は男、頭脳は女よ!」
「コナンかいっ」
そんなこんなで、ニューハーフキャバクラ「夜の蝶」は、今日も閉店の時間を迎えた。
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