第8話 ザギンでシースー(仮)
芸能関係のお仕事をしている人は、私みたいな一般人が知らないようなお店を知っているものだとばかり思っていた。
でも、今、連れられてきた店の前に立って、それはまったくの誤解だったと思い知らされた。
「サイゼ……」
ある程度ね、お金もおろしておいたの。おごりとか絶対いやだから。もし高いお店に連れて行かれても大丈夫なようにって。
いやいやいやいや、サイゼだからがっかりとか、そういう失礼な気持ちじゃないよ!?それは神様に誓ってもいい。ただ全く思ってもみなかっただけ……。
そんな私の気持ちを察したのか?かがりさんが申し訳なさそうに言った。
「本当は、ちゃんとしたお店にお連れしようかなとも思っていたんです。でも、あくまでお友達として、肩肘張らずに気兼ねなく過ごせるところの方がいいのかも……なんて思ってここに来てみました。でも、反応を見て、ないわって思われていたら、冗談ですよって事にしようかなと」
「ははは……そ、そうだったんですか……」
イケてる女性なら怒って帰りそうだもんなあ、なんて思いながら笑ってしまう。
「でも、私、サイゼの方がいいかもしれません。できた女じゃないので」
だって、きっと、いいお店なんか連れて行ってもらっても、味も分からなくて、楽しめないって思う。
「よーし、今日は奮発して、ワインとトリフアイスクリームもつけちゃおっと!」
メインは何にしようかな、なんて思いながら、私はかがりさんよりも先にサイゼへと向かって行った。
「あ、待ってくださいよ!ドアは僕が開けますから!」
ドアに手をかける寸前、かがりさんがドアを開けてくれた。
わーお、紳士。
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