第7話 今日は彼女と初デート
「ていうか、女性と勘違いさせるのって、確信犯だったんじゃないですか?妙に手がこんでたし、LINEで送られてきた写真だってあれ明らかに女性に見えるようにしてませんでした?」
冷静になって思い返すと、明らかに女だと思わせようとしていたように思う。声のトーンも高めだったような。
「いや、最初は本当に偶然あの格好だっただけで、騙すつもりはなかったんですけど……あの姿の方が、警戒されないような気もして、次に会う時までは……と」
ふふふ、と楽しそうに笑う。
「現にこうして、また会ってもらえた。違いますか?」
そう言って顔を覗き込まれて、思わず後ずさった。
こういう、距離が近い人と交流したことないから、いちいちびっくりしてしまう。
「いや、違わないですけど……」
「それならよかった」
挙動不審な私のことを気にすることなく、かがりさんは笑った。
「じゃあ早速、ランチいきましょうか?」
そう言うと、私の手をグイッと掴んで、スタスタと歩き出した。
「おぅえ!?て、手!!!」
驚きのあまり振り解こうとするが、強い力で握られていて無理だった。
「やだ、やめてください!まだそんな、手を繋ぐとか!恥ずかしいし!たんなる友達なのに!」
最後に手を繋いだ男は父親(幼少期)という私にはあまりにも刺激的で。
悲鳴混じりの言葉に、かがりさんは歩みを止めて、私を振り返る。
その顔は、とても嬉しそう。
「だって、今日は楽しい初デートですから!」
ダメだ話が通じない。
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