第4話 悪夢の求婚からの

次から次となんなんだこの人は、私、悪い夢でも見てるんじゃないか。

すぐさま私は、古典的な手法、ほっぺをつねるを選択してみたものの、痛い。痛すぎる。

そんな私を、土下座のまま、上目遣いで瞳をうるうる見つめてくる。

いやいやだめだ断らねば。


「あの、結婚は無理です」

「そ……そんな……」


あ、今にも泣きそう。私に非はまったくないのに、なぜか罪悪感。いやいやだめだしっかりしろ私。


「名前も知らない、どんな人なのかも知らない、しかも……同性で結婚なんてありえませんから!」


そう、目の前の美人と、同じカテゴリに入るのは心苦しいけれど、私も一応女なんだよ……言ってて悲しくなるわぁ。


「じゃあ……」


土下座美人は、寂しそうな表情で、言ったのだ。


「まずは、お友達からはじめませんか?」


思えば、これも全て彼女の計算のうちだったのかもしれない。

めちゃくちゃ高い値段をふっかけてから、大きく値下げすることで、つい財布の紐を緩ませるようなやつ。


「まあ……友達からなら……」


これが私、工藤ちとせと篝さんとの出会いだった。

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