第3話 犯人はお前か
「まずは、謝らなきゃいけないんです……すみません、急に抱きついてしまったりして」
その言葉を理解するのに、少しだけ時間がかかってしまった。
……抱きついてきたの、あんただったんかーい!!!
「やっと会えたことがあまりにも嬉しくて、あんなはしたない真似をしてしまいました……本当にすみ」
「ちょちょちょ……ちょっと待ってくださいよ?」
意味が分からないことを言われて、思わず話を遮ってしまう。
「やっと会えた?私に?だ、誰かと間違えてません?私、あなたみたいな綺麗な人忘れるわけないし、会ったことないですよ?誰かとお間違えでは……」
「いいえ!間違いなんて!そんなわけありません!あなたがおぼえていなくても、私は完璧におぼえてますから!あと、綺麗な人だなんてそんな!!!あなたに褒められたら、嬉しすぎて成仏してしまいます!!!」
両手を頬に当てて、まるで5万円のフルコース料理のフォアグラ食べたときみたいにうっとりした顔をしてるよ……なんなんこの人。
「本当なら、きちんとご連絡してから、ご挨拶に伺うつもりだったんです。でも偶然、街中で見かけてしまって、全身が沸騰したように歓喜に包まれてしまって、気づいた時には強く抱擁してしまいました……大変申し訳ありませんでした」
しゅん、という音が聞こえるんじゃないかくらい、うなだれながら、ちょっと理解できない話も交えつつ謝られた。
「急にあんなことされたら、誰だって驚きますよ……通り魔とか、そういうのかと思っちゃうじゃないですか……」
「本当にごめんなさい……大切な相手のことをいちばんに考えなければいけないのに、感情に任せて動いてしまって……言葉でいくら謝っても意味がないですから……かくなる上は……!」
そう言うと、椅子から降りて、土下座しだしたじゃないの……オージャパニーズドゲザァ……っておい自分。
驚きで固まっていた私は、さらに、理解できない発言を耳にすることになる。
「私と結婚して、専業主婦として毎日働かずに優雅に暮らしてくださいぃ!!!」
「は、はああああああああああ!!!???なんだってぇ!!!???」
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