第2話 見知らぬ天井
嗅ぎ慣れない香り、と思った。
眠りからさめたことに気づいて、目を開ける。
見慣れない天井、傍には点滴のボトルも見える。病院?
働かない頭で、なにがあったかを思い出そうとする。
何かびっくりしたことがあって、そこでふらっとして……びっくり……あっ!思わず上半身を起こした。
知らない人に抱きつかれたんだった!
なんだったんだ一体、と思いながら、頭に手を当てようと腕を動かすと、点滴のチューブが繋がっていることに気が付き、その時に横へと視線を動かして……誰!?
そう、私の傍には、見知らぬ人が椅子に座って、こちらを見ているじゃないか!
その人の顔もびっくりしていて、お互い、無言のまま固まってしまっている。
「……あ……ど、どなた?」
カラカラに乾いた私の喉が、なんとか声を出す。
その直後、その見知らぬ人が大粒の涙をぼたぼたと流し始めた。
え、え、なにこの人……。
「ご、ごめんなさい、ほっとしたら涙が出てきちゃって……」
高そうなハンカチを取り出し、涙をぬぐうその人を見て、私は息が止まった。
だって、とんでもない美しさ……こんな綺麗な顔立ちの人はテレビや雑誌ごしでしか見たことがない。
そこでようやく、頭の働きも戻って、冷静に物事を考えられるようになってきた。美人はブドウ糖なのかもしれない。って、なんだそれ。
「あの、まず、私はどうしてこのような状況になってるのか、よかったら説明いただけると嬉しいんですが……」
私の質問に、涙を拭き終えたその人は、姿勢を正して、私にしっかり向かい合ってきた。
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