第4話 味気の無いテンプレート 202204080700
「スラ♫スラ♪スラスラ♪♪」
「ノリノリだな。
そんなにはしゃいでいたら、帰りまで持たないぞ。」
街の城壁前で今か今かとその時を待っていた。
この場所は国境街と呼ばれており8つの国の境でもある。
共に不干渉を貫くための緩衝材としておかれている国でもあった。
8つの国を挟むため、それぞれに運河や山脈、火山などの行軍を食い止める地形がいくつも存在している。
「なんだなんだ。
スライム一匹しか連れていない田舎者が国境街にやってくるとはいい度胸だな。」
大層な服を着ていることから貴族か、豪商か。
裕福な身であることには間違いない清潔感。
頭髪に香油を使っているのか臭いはキツイ。
「国境街には屈強な冒険者が多いと聞いたが、それは間違いだったようだ。」
「なんせ、お前のような生きる価値のないものまでここに来れるのだからな。」
横にいる騎士たちは剣や槍と言った装備をしている。
火花がちょくちょく飛び散っていることから金がかかっているのは解る。
「魔武器の紋章を授かった軍団に惚れ惚れしたか。
貴様のような雑魚には決して届かない者どもよ。
私はもっと特別だぞ。
なんせ、グリフォン(鷲獅子)の紋章を授かっておるのだからな。」
モンスターには5種類がある。
自然系...天使、悪魔、精霊などの土地神、神霊と言った概念すらも変える力を持つ種。
混合系...鷲獅子のように既存の動物(この世界にも普通に動物は居る。)を混合した種族。
幻獣系...自然系、混合系にも属するがその力は条件が揃えば主神クラスも倒せる力を秘めている。しかし力にムラがあるため実力を発揮するにはそれ相応の扱いが必要。
超獣系...一番多い種で既存の動物、物質が強化された種族たち。
魂魄系...2番目に多い種。幽体などの物質界に直接の影響力を持たないが、物質界の力を強化することのできる種族。
スライムに関しては超獣系、幻獣系亜種の分類と考えられており、解明はされていない。
魔剣、魔槍の類は魂魄系から来ている。
元々の幽体から武器に宿り実力を強化する。
グリフォンは幻獣系の部類で、条件が整えば彼らよりも強い力が宿るだろう。
「獅子はウサギを狩るのに全力を出すというが、鷲獅子は狩りに全力を出さずに餌をみすみす逃がすのがお好きなようだ。」
「スラ!」
なんてことを言ったのだ。
そんなんでは裕福そうな服を着ている青年の遥か上空に居るグリフォンに殺されてしまうかもしれないじゃないか。
「ふん、そこのスライムの方がまだ利口なようだ。
実力差というものがまるで解っていないのだからな。」
「まったく、スライムはだから馬鹿なんだよ。
そこの坊ちゃん見てみろや。
ここは国境街、そんな上空に居たら兵士に殺されるぜ。」
地面にグリフォンが降ってきた。
焦げ臭い傷を負った状態で。
「あいにくだが、俺はここの常連でね。
紋章を授かる前から来ている。
オマエみたいなイキリ野郎なんぞ腐るほど見てるのさ。
引くなら今のうちだぞ。
その服は、国境街南西に位置する大国のモノだろ。
あそこはここ最近軍部が弱体化したとの噂があったが、公爵家のご子息が連れている軍隊を見るとそれは明らかなようだな。」
「き、貴様ァァァァァ!
ヤレ!
私だけでなく我が国を貶めた罪は重い!
死んで償え!
子どもの戯言とは許されんぞ!」
全員が抜剣、抜槍。
数多の魔武器がレオンに迫りくるう。
「さてスライム、勉強の時間だ。
まずは悪い例。
このように鎧を着用している自分よりも体格の大きな人間に対しては真正面から受け止めるのは悪手そのものだ。」
と言って真正面から剣を足で受け止めているレオン師匠。
どういう原理なのか6歳児の体格で15歳くらいの男性を受け止めるだけでもありえないのに、鎧まで来ている彼らを平然と受け止めている。
「なんせ、質量、体重は彼らの方が重いし、今回の場合は魔剣を持っているから炎が散って危ない。
ちなみに俺が受け止めきれている理由は、魔術を使っているからだ。」
「魔法だと、キサマ紋章を捨てたモノだけが使える魔法を何故使っている!」
騎士の一人がモノ言わんと迫り狂う。
「次に正しい方法だ。」
唾理合いをしていた足を退き、後ろに流し、その拍子にヘルムに掌底を与える。
もう一人の騎士に対しては槍で突いてきたので、カウンターの掌底を決める。
相手の攻撃に合わせてこちらも踏み込むため普通のカウンターよりも破壊力は絶大的だ。
「これが正しい仕留め方だ。
他にもあるのだが、それは、今見せるとしよう。」
「舐めるな!」
城壁の近くでは戦闘が起こっても衛兵は来ない。
そもそも、各国の治外法権だから、全ては実力こそ法。
実力こそが社会。
力こそ全て。
それが国境街。
「また、レオンの奴がやっているのか。
スライム?
ああ、登録しに来たのか。
なら納得だが、今日も金が巻き上げられるな。
にしても南西の大国、科学の国カンペ帝国は兵士の質が落ち過ぎてはいないか。
魔武器の増産に成功したとは聞いていたが、これじゃあ元も子も無いぞ。」
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スライム道
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