第20話 対決!【黒魔術VS鬼道陰陽道】(中篇)
GUZE(グゼ)との死合(しあ)いから遡ること
数十分前、ここは命道トモエがGUZE(グゼ)の
もとに駆け付けるために使用した自家用ヘリの中である。
ヘリは命道トモエから離れること数百メートルの平原に着陸していた。
その機内には白髪と白髭が様(さま)になっている執筆が機上していたが、実はメイド専用室に命道トモエ専属のメイドも機上していた。
彼女はトモエがいつ機上してもいいように
お茶の支度を機内にある専用キッチンでしていた。
「カチャカチャ」と軽快な手捌きでお茶の
用意がなされていく。
ティーセットの用意を終えたメイドは
別の仕事に移るべく専用キッチンを離れ
機内の他の場所に移動した。
メイドの容姿はモスグリーンのリボンでポニーテールの髪に結びトモエとさほど年齢差がないむしろ大人びた命道トモエよりややそばかすのある洒落(しゃれ)た細工の眼鏡は掛けているものの歳下のようにさえ思われた。
メイド服は夏に映える明るめのモスグリーン色。
エプロンを着用したロングスカートの長袖。
白の靴下に靴も凝った細工のこちらもモスグリーン色だった。
そんなメイドが来た場所は命道トモエが着替えた簡易更衣室だった。
メイドは簡易更衣室の戸棚の上にあった
トモエの着替(きがえ)て丁寧にたたんである
制服をクリーニングすべく手に取ったところ
その間から小さな白い布切れのようなもの
2枚がこぼれ落ちた。
メイドは嫌な予感に襲われしゃがみながら
恐(おそ)る恐(おそ)る白い布切れのようなものを交互に手に取った。
「お嬢様…。」とメイドは少し呆れ顔で溜息混じりに言った。
呆れるのも無理からぬこと。
こぼれ落ちたものは下着のブラジャーとパンティだった。
高級ブランド品らしく品質はシルクで白の布地に所々レース網がされておりブラジャーは
ハーフカップの上側はレース網の凝った作りになっていてパンティはシルク素材に所々レースと凝った刺繍、中心にはシルクの黒リボンが付いていた。
「トモエお嬢様。大事に至ってなければよろしいのですが。」とメイドは左手を右肘に右手を頬に当て嫌な予感を打ち消すように口にしたが、少しの間をおきこぼれ落ちた下着を
制服の上に置くとまとめてクリーニングするため手に持ち簡易更衣室から出て行った。
時を現時点に戻そう。
メイドの願いも虚しく大事に至っていた。
「さあ命道トモエ!敬愛するGUZE(グゼ)の前であなたも羞恥をさらしなさい。」と黒き魔女は右手で肩口を左手で袴の裾を掴むと思いっきり下に引っ張り下ろした。
「ビリビリビリビリ〜」と凄い音が響きわたり命道トモエの衣服が剥がれ落ちた。
「さあ、あなたも恥をかきなさい!」と
黒き魔女カトリーヌ・フォン・ブレルは
命道トモエに言い放ったが、彼女の視界に入ってきたのは巨乳だった。
正確にはトモエの下着姿を見られて羞恥に
赤く染まる顔の表情が見たくて素早く前側右斜め横に移動したのだが、黒き魔女の視界には衣服を剥ぎ取られた反動でいまだに波打っている命道トモエの巨乳があった。
それを見た黒き魔女は心の中で
(負けた…。)と思うくらいの巨乳だった。
「ハツ」と我に返った黒き魔女は命道トモエの裸を上から下までじっくり観察した。
トモエの美貌はもとより黒く艶のある長い髪、それを際立たせる彼女のプロポーション。
巨乳は胸と胸との間隔がなく均等で乳輪も見事な位置と大きさを有(ゆう)していた。
胸から腰にかけての曲線は美しくウエストは無駄なく締まりヒップは俗に言う桃尻というほど整った形をしていた。
アンダーヘアーは黒く何故か若干湿っていて
その下の縦のアンダーラインも丸見えだった。
絶世のプロポーションである。
観察していた黒き魔女は再び我に返り
透明化の魔法を解き困り顔の笑顔で掛けた
最初の言葉が
「あなたの一族は裸族なの!?」であった。
下着も付けていなかったという予想しなかった事態に黒き魔女も間の悪さから掛けた言葉だが、その言葉を切っ掛けにあまりの出来事に動きが止まり茫然自失(ぼうぜんじしつ)と
なっていた命道トモエは
「きゃー!」と悲鳴をあげて右手で胸を
左手で秘所を抑え「ストーン」と腰砕けに
両膝をつき座り込んでしまった。
「よくもGUZE(グゼ)様の前で!」と黒き魔女を睨みつけるトモエであったが、迫力はあまり感じられなかった。
全身は桜色に染まり美しく両頬も桜色となり
怒りよりも羞恥からか涙目でむしろ彼女の可愛らしさを演出しているようだった。
そんな可愛らしい怒りを向けられた黒き魔女カトリーヌ・フォン・ブレルだったが、
「え〜と」と言いつつ右手の人差し指で
美しい真っ白な右頬を「ぽりぽり」とかくだけだった。
さすがにやり過ぎた自覚があった黒き魔女
カトリーヌ・フォン・ブレルが声を掛け
あぐねていると
「とても美しい裸ではないか。
何を恥ずかしがる必要がある。」と
静観していたGUZE(グゼ)が命道トモエに
声を掛けた。
「GUZE(グゼ)様。」と今まで涙目で羞恥心から全身と頬を桜色に染めていたトモエが
GUZE(グゼ)の方を見ながら言った。
女心とは複雑なもの。
今まで黒き魔女に対しての怒りと羞恥心から
混乱の極みにあった感情が「敬愛する対象」の一言で何故か嬉しいという感情が上回り冷静さを取り戻した。
そうであっても彼女も女性である。
褒めていただいたとはいえ裸体をさらした恥ずかしさがある。
その為、GUZE(グゼ)が「だがそのままというわけにはいくまい。」と命道トモエの近くに
歩み寄ってきた時、両手に一層力を込めて秘所を隠した。
「失礼する。」とGUZE(グゼ)はトモエの左肩に右手を据えるとその手から黄金色の光が放出されアドレナリンなどの影響で本人もあまり意識しなかった軽度の全身打撲の痛みと傷を瞬時で回復させた。
続いて黒き魔女のタチの悪いイタズラで破けて剥がれ落ちるという大惨事となった衣服に左手で触れると空中に浮遊。
左右の手を肩と衣服からはなし両手を浮遊している衣服の前に出すと何かを引き寄せるように両手を握った。
すると空間に別の衣服が薄(うす)らと出現したかと思うと浮いている衣服と合わさり
元の衣服へと修復された。
「トモエ殿」とGUZE(グゼ)は彼女に空中から
彼女の元へ衣服を渡した。
「ありがとうございます。」と命道トモエは
目の前で起きた奇跡に近い出来事に驚き
そのまま秘所を抑える両手を退けて受け取った。
その為、GUZE (グゼ)からは全裸が全て丸見えになったが、GUZE(グゼ)には一切の動揺はなかった。
並の男ならば彼女からの芳しい匂いと全裸に
平常心を保てないが、GUZE(グゼ)は微動だにしない。
続けて命道トモエがGUZE(グゼ)との死合いで
四散した護符等、そして宝刀をトモエから離れて拾い集めた。
無論、命道トモエの着替えに配慮した行動である。
トモエ自身はGUZE(グゼ)に背を向けお尻を
見せるかたちで衣服を着用した。
見事なお尻である。
並の男ならば見惚れるであろうお尻は
ヒップからの曲線が美しくお尻は薄らと
桜色に上気していた。
その尻が袴の着用で歪なかたちとなり
着用後は袴のスペースにより元に戻る。
次いで胸は絶句するほどの巨乳とかたちの良さ、特に左右の乳輪と大きさは鏡で写したかのような左右対称だった。
加えてトップバストとアンダーバストの差が大きく横から見ても乳輪の位置は真ん中にあり大きさとかたちは申し分なかった。
見事すぎる究極のプロポーションである。
そんな巨乳が衣服に袖を通すたび揺れて見るものの目を奪う。
巨乳故に乳輪が巫女衣装によく似た衣服に擦れながら胸を隠していったが、トモエは内側の紐(ひも)を二箇所結び次に外側の紐も二箇所結んだ。
彼女の巨乳は固定するように衣服によって押さえ付けられたためやや大きさが小ぶりに見えた。
それでも十分の胸の容量があるのだが、やや本人からすれば窮屈なのだろう。
或いはそのことがあったから下着の着用を無意識に拒絶したのかもしれない。
簡易的に衣装と黒く艶のある美しい髪を整えるとGUZE(グゼ)の方を向き直ったトモエは
いつの間にか側に立っていた彼から護符等、宝刀とあるものを受け取った。
「それは大切なものだろう。」とGUZE(グゼ)が言ったもう一つとは小型のイヤホン型端末機のようだった。
端末の大きさは5cm前後、細い棒のようなものが出ていてそれを合わせると10cm以上になるだろうか。
命道トモエはイヤホン型端末機を左耳に装着すると細い棒の部分を左眼の前側にもってくるとスイッチのような突起を押した。
すると細い棒のような部分から目を覆うように空中に画像のようなものが出現した。
画像の大きさは左眼が隠れるぐらいの大きなものではないが、表示される字や画像は用途に足りる鮮明なものだった。
「トモエです。通信状況はどうですか。」と
彼女が画像の向こうにいる者に話しかけた。
すると短髪の白髪頭の白髭を蓄えた
命道トモエと共に自家用ヘリの操縦席にいた
老執事が返答した。
「感度良好です。画像越しでもトモエ様の
美しい顔が見えますぞ。」と軽快な話術で
相手を和ませようとした。
「そのようなお世辞はいりません。
それよりお願いしたいことがあります。」
と命道トモエは老執事の気遣いを事もなげにいなし本題を進めた。
「お世辞ではなかったのですが、トモエ様は
いつ見てもお美しいですよ。それでどのような事を私めに御命じでしょうか。」
命道トモエは暫(しば)しの間の後、決意を露にした目つきで老執事に向けて
「霊刀※【菊一文字】の準備をお願いします。」と告げた。
画像越しの老執事は少し驚き顔で
「霊刀【菊一文字】ですか。確かに有事の際の備えとして運んでまいりましたが、
何か今回の件、不都合が生じご必要となりましたか。」と老執事が聞き返したところ、
「今回の件は無事終了しました。
ですが他の不都合が生じそれを打ち払う為に、必要となりました。引き取りに行きますので、準備をお願いします。」
「他の不都合ですか。霊刀【菊一文字】は命道家のいわば家宝です。今回の件での有事以外ではなるべく使用は差し控えるべきなのですが、トモエ様がご使用を決められたということはそれが必要であるとの判断でしょう。
わかりました。早速ご用意いたしましょう。」と老執事も即座にことの重大さを理解し応えた。
「いつもありがとう。」
応答を終えると命道トモエはGUZE(グゼ)から渡された最新型のイヤホン型端末機のスイッチボタンを押し電源を切り左耳から外し
そっと大事そうに懐にしまった。
そして向き直り側(そば)にいるGUZE(グゼ)に
微笑し感謝の意を会釈で表すと視線を黒き魔女カトリーヌ・フォン・ブレルに移し
「あなたに決闘を申し込みます。
異論はございませんね。」とより真剣な厳しい表情で彼女は言い放った。
第20話 完 続く
※菊一文字
鎌倉時代に製造(打たれた)とされる歴史上に
残る名刀の中の名刀、新撰組の沖田総士が
所持していたとされる。
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