第10話 「御使(みつかい)との死闘篇」(前編)

 「御使(みつかい)か」と上空を見上げるGUZE(グゼ)の眼前には奇妙な世界と生物が立ちはだかっていた。

奇妙な世界である。

空に終わりはなくかろうじて見えるのは

GUZE(グゼ)が通ったこの空間に続く別次元の

黒い穴。

形容し難い雰囲気は寂しいような哀しいようなそれでいて懐かしいような大袈裟にいうなら全ての生命の誕生の起源を思わせるような場所であった。

その中で御使(みつかい)たちは黒く鬼のような形相で黒い漆黒の翼を羽ばたかせて何かを必死に探していた。

「※何かを必死で探しているようだな。」と

GUZE(グゼ)は察し目を閉じてここで起こったであろう出来事の過去の残影を脳裏に映し出していた。

2人の女性が見えた。

その女性たち2人は瞬時にGUZE (グゼ)の通ってきた別次元への穴に移動すると御使たちの手を逃れ脱出していた。

その情景を見ながらGUZE(グゼ)は2人のうちの美しい1人の女性に目を止めた。

何故かはわからないがその女性を見ていると

例えようのない懐かしさを感じている自分に気づいたが、女性2人は穴から脱出した為、

そこで残影は途切れ再び魔女カトリーヌに

視界を移すと急ぎ彼女のもとへと歩み出した。

GUZE(グゼ)が魔女カトリーヌのもとへ急ぐあいだも御使(みつかい)は女性たちを探していた。

そして彼女のもとへ辿り着いた時、


かの魔女カトリーヌ・フォン・ブレルは

全裸だった。

美しい裸体だった。

雪のように白い肌に薄らと生えている産毛は

金色に輝きアンダーヘアーは光彩を放っていた。

半球型をした胸はトップとアンダーの高低があり理想的な形と大きさで極めて大きく

見事なまでに左右対象で乳輪の位置は

真ん中で大き過ぎず小さ過ぎず理想的である。

色合いもほんのり桜色で彼女の男性経験のなさをものがたっているようだった。

欧米人特有の腰の位置の高さと

腰からお尻の線は絶妙な曲線をしほんのり桜色の見事としか言いようのないお尻をしていた。

そこから両足は真っ直ぐ綺麗に伸びていた。

まさに理想的な女性の裸体である。

その黒き魔女に歩み寄りGUZE(グゼ)は様子を

うかがった。

黒き魔女カトリーヌは焦点の定まらない虚な目と意識の薄弱が感じ取れた。

重度の夢遊病者のような症状だった。

その様子を見たGUZE(グゼ)は仮に魔女カトリーヌを正気に戻すために頬を叩いても意識は戻らないと判断しつい先刻もした同じ状況の

彼女の胸に左手の平を右手の平を眉間に置き「目覚めよ黒き魔女」と言うと更なる黄金の輝きをハートチャクラとサードアイチャクラに注ぎこもうとした。

左手の側の大きい胸の膨らみが押し当てた圧力により変形した。

左手の平から微かに彼女の心音が伝わってきた。

表情も僅かだが変わったように思えたが

状況は一刻を争う。

GUZE(グゼ)の頭の頭頂部から眉間に移動した金色の光は肩へと移動し肩から両腕を経由して両手の平に移り両チャクラに注がれた。

注がれた部分の眉間と胸の部分が輝きを放ち

光りが収まると同時に虚だった黒き魔女カトリーヌの目に生気が戻り始めた。

意識が正常化した彼女は「GUZE(グゼ)」と

言葉を発したが目の前の状況に彼女は凍りついた。

そう黒き魔女カトリーヌ・フォン・ブレルは

全裸なのだ。

しかも生の胸を変形させるほど

GUZE(グゼ)の左手の平が自分の胸に押し付けられていたのだ。

「GUZE(グゼ)」と黒き魔女カトリーヌは叫び

顔を真っ赤にして右手をGUZE(グゼ)の頬に向けて放ったが「何をする」と言いながら僅かなスエーバックでかわしたGUZE(グゼ)に対してカッと腹を立てた黒き魔女カトリーヌは禁断の技を使用してしまった。

回し蹴りからの後ろ回し蹴りからの踵蹴りである。

技の連携は流れるように鋭く破壊力こそ抜群だが全裸でする技ではなかった。

技の振動でまだ大きい胸も揺れているが

それ以上に生のお尻が揺れて何より回し蹴りと右踵蹴りを左手で止めたGUZE(グゼ)から

女性の大事な部分が丸見えなのだ。

大満開である。

カッと腹を立て我を忘れて放った技だが

やっと自分のしたことに気づいた黒き魔女

カトリーヌ・フォン・ブレルは以前同様に

慌てて右足を引き抜くと美尻ともいえる

お尻が丸見えになりながら宙返りし胸と下腹部を手で押さえながら「キャー!」と女性らしい悲鳴を上げながら着地した。

黒き魔女カトリーヌは以前同様に頬を真っ赤にしていたが何より涙目になっていた。

ショックで秘所を両手で抑えながらブルブル震え涙目の魔女カトリーヌは小声でGUZE (グゼ)に尋ねた。

「見ましたわね。私の大切な部分を……。」と歯切れの悪い口調である。

「何のことだ。」とGUZE(グゼ)は答えたが

あくまでとぼけていると考えた黒き魔女は

「私の大切な部分を見てとぼけるつもり!」と大きな声で言った黒き魔女カトリーヌに対して呆れたようなに「は〜あ」とため息をついた後に「ピンク色の穴に興味はない。」と

答えた。

「キャ〜あ!」と更に混乱の度合いを増す黒き魔女である。

彼女ほどの女性の全てを見たのだから普通の男ならば興奮を禁じえないのだが、まるで

動揺がないのがGUZE (グゼ)、失礼な話である。

混乱した黒き魔女はその場にへたり込んで

胸とアンダーヘアーが見えるのもお構いなしに両手の平で顔を覆いながら泣きじゃくっていた。

流石にその状況をみていたGUZE(グゼ)も

気の毒に思ったのか、

「すまなかったな。」と相変わらずの無表情で謝罪の言葉を口にした。

その言葉を聞き耳を少しピクリとさせた黒き魔女は考えた。

(どうしてこんなことに。GUZE(グゼ)に助力を

お願いするはずが…。こんな恥辱を。)

(もうお嫁にいけない。どうすればいいの…。)

動揺で更に顔を抑える手を強め黒き魔女は

思った。

(こうなったらGUZE(グゼ)に…。)

意を決した黒き魔女カトリーヌ・フォン・ブレルは立ち上がりながらGUZE(グゼ)に

「GUZE(グゼ)!責任を取ってください。」

「わかっている!ここからお前を救い全てを

元に戻し後のことも引き受けよう。」

「そうではありません。私の受けた周知の恥辱に対して男性としての責任をとってくだい。」

「私をお嫁さんにもらってください!」

「何故そうなる」

流石のGUZE(グゼ)にも女心は理解不能なのか、しばらくの沈黙の後、GUZE(グゼ)が

発した言葉は「馬鹿話は終わりだ。」と

失礼極まりない発言だった。

「馬鹿話しって!女性にとっては大切なこと…。」と言って食ってかかろうとした時、

黒き魔女の背後からドスンという振動が伝わってきた。

ゆっくりと後ろを振り向いた黒き魔女カトリーヌ・フォン・ブレルが見たのは巨大な御使(みつかい)の姿だった。

「時間切れだ。御使(みつかい)、やはり避けては通れぬか。」とGUZE(グゼ)は言った。

と時(とき)をほぼ同じくして次々にGUZE(グゼ)たちを取り囲むように御使たちがドスン、ドスンと着地していく。

黒き魔女カトリーヌの背後に着地した

御使(みつかい)は背の翼をバタつかせると

黒き魔女カトリーヌの金髪は風になびき

光彩を放ったが対するGUZE(グゼ)は

より厳しい表情を覗かせた。

不気味な表情を浮かべた御使(みつかい)は

クチバシにも見える口から

「キ〜ッ」という奇声を上げて2人の前にたちはだかった。

ここは黄泉比良坂(よもつひらさか)へ通ずる

現世との境にある世界である。


第10話 完 続く 

次回「御使(みつかい)との死闘篇」(後編)

※続・題名のない小説 第19、20話参照

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