第3話
土煙が上がる中、立ち上がり眼光鋭くGUZE(グゼ)は蒼天を見つめた。
そして話掛けた。
「私に君たちがなしえなかったことを
成就させろというのですか」と。
無論、蒼天は答える筈もなかったが
不思議なことに雲ひとつない蒼天が
虹色の輝きを魅せてGUZE(グゼ)の問いかけに
答えたように見えた。
少なくともそのような現象が起きたのだ。
希少だが偶然に起きた自然現象だといえばそれまでだが、ただ少なくともGUZE(グゼ)の
問いかけに時をおかずに起きた現象は偶然と
片付けるには少し無理があるように思えた。
GUZE(グゼ)は上半身は裸で下半身に腰巻きのような白い布を少し長めにつけているだけだった。
「これでは人里に降りた時に騒ぎになるか。
仕方があるまい。」
GUZE(グゼ)はしばらく目を閉じて何かを
探しているようだった。
心の中で現在の情報を事細かにイメージして現在の情報機器全てに接続していた。
いやこの場合は検索しているという方が正しいだろう。
該当する項目をリストアップして
現在の若者が着る服のリストの中から
無難な白をベースとした生地に胸元にポケットがあるTシャツと下は普通の紺のジーパンに靴下は白、スニーカーは黒の紐付きのものを選び出した。
それらをイメージし出現させ全身に纏った。
空気中の分子を再構成して服を創造したと
いうレベルの話ではない。
無の状態から出現させたのだ。
服の創造ひとつにしても奇跡的な行為なのだが、この美青年はこともなしにやってのけたのだ。
GUZE(グゼ)は更に蒼天に向けて話しかけた。
「私がすることの最初の目標はもう始まってしまっている人類の最終戦争の阻止と
その後の下地造りということか。」
また蒼天は自然現象と言うには無理のある
虹色の輝きでGUZE(グゼ)に応えた。
「その前に私の業にて消滅した
自然を再生させなければなるまい。」
そう言うと手をかざし何かを引き寄せるように手を握ると目の前に薄ぼんやりとした輪郭から徐々にはっきりとした輪郭となり山々が現出して完全に自然が再生した。
「それでは行くとしよう。」
振り向き山々を降り始めたGUZE(グゼ)の
背には朝日が昇り始め彼を祝福しているようだった。
彼の名はGUZE(グゼ)
この物語の主人公である。
第3話完
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