第5話 突然の再会
社会人になって6年目になると、日常に色が無くなっていく。毎日同じことのルーティーン。先輩との飲み会に付き合い、作り笑いのしすぎで顔の筋肉が緩まらない。営業の仕事は嫌いじゃないが、一生やりたいかと聞かれたら答えはノーだ。
がっちり固めた七三ヘアースタイル、ピカピカの革靴。端から見ているとかっこいいと思うのだが、朝から晩まで着用しているとさすがに嫌気がさす。
今日は、久しぶりに仕事が上手くいったから、ごほうびに特急で帰ることにした。
やはり、シートも空間も快適だ。窓の外で輝くビルの光を眺めながら、満足感に浸っていた。
しかしながら、夜の窓側は反射で車内の景色ばかりが目に入った。
自分の席の反対側に女性が座っているのが見えた。なんだか見覚えのあるシルエット。あまりマジマジ見るのは失礼だと思いつつ、なんだか懐かしいオーラを放っていたため、つい見いってしまった。
ずっと顔を伏せ、他人との交流を完全にシャットダウンしている。
自分には、このオーラが誰のものかは完全にわかっていた。
小学生のとき、思いを伝えられなかった人。
この人を忘れることはない。
明らかに「話しかけるなオーラ」を放っていたが、ガン無視して声をかけた。
全く気がつかない。
でも、本当に気がついていないだけな気がして、めげずに呼びかけた。
「高山夏実さんですよね?」
ついにこちらに気がついたその人は、まさに、あの時のままの高山さんだった。
久しぶりの再開は、時間をあっという間に進めてしまった。
小学生の頃のことなんて忘れていると思っていたが、案外思い出されてきて、高山さんと会話していると、あの頃にタイムリープしたようだった。
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