脳の手術を受けた男とその妻の、術後から退院後までのお話。
うわあああこれは重苦しい……。
急に降りかかった不幸、というか、その結果として揺るがしようもなくそこにある、「なにか不可逆の現状のようなもの」を軸にした現代ものドラマです。
具体的にどういう不幸かはここでは伏せますが、自分の身に降りかかったことと思って読むと大変にしんどく、でもきっとそれが(物語として)楽しいお話。
彼らはどうすれば良かったのか、というよりは、「自分ならこの状況でどうなるか、どう振る舞えるか」という、そんなことを考えさせられます。
できればめげずに、少しでも前向きに、という都合のいい妄想はできても、それが実際に自分に可能かと言われると……というような。
決して後味の良い物語ではないと思うのですがけれど、だからこそ重たく胸に残る掌編でした。