第3話
そろそろ朝になったかな。目を開けて確認したがまだ暗い。
妻はまた会いに来てくれた。手を握り、また同じように僕の肩を叩いた。
なぜ夜にばかり会いにくるのか?
ん?身体の右側が暖かい。
まるで日向ぼっこをしているみたいに──。
しばらくして妻はいなくなり、横たわったまま時間が過ぎた。
そして数時間が過ぎただろうというところで、右半身の暖かさが薄れてきた。右から冷気がやってくる。
僕は、僕はようやく気づいた。
視覚を失った。
きっと看護師がカーテンを開け、陽の光を入れてくれたのだろう……。瞼を確かに開いているのに、真っ暗なままだった理由がわかった。
手術のリスクでも言われていたことだ、不運だが起こってしまったことは仕方がない。ただあの可愛らしい妻の表情が見られないのは残念だな……。
僕はほろりと涙を流した。
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