『通勤』 5


 パトカーのロボット警官は、いろんな事情があるので、みな腰は低い。


 むかしから、人間刑事さんが二人で来る場合、たいがい、漫才師みたいに突っ込んでくるタイプと、『まあまあ』と、なだめるタイプが組になっているようだ。


 相手の心理を、揺さぶる手法でもある。


 ロボット警官といっても、様々な性格に色分けられている。


 男女もある。


 ロボットを軽薄視、差別することは、人間と同様に、法律で禁止されてもいる。


 しかし、喧嘩になったら、まったく歯が立たないし、理屈でも、なかなか勝てない。


 しかも、ロボット警官は、権力を背負ってもいる。


 つまり、圧倒的に強い相手を差別する理由は、考えても、あまりない。


 むしろ、差別される方が心配である。


 というのも、彼らのプログラムは、地球警察本部が行うからである。


 もちろん、警察側は否定はするが、ある種の差別があると、指摘をされている。


 地球の国家は、現在、地球政府を構成するが、それでも、出身母体が強くて、権力者が多ければ、相対的に強くなる。


 地球政府を構成する大臣たちには、偏りがあるとされる。


 まだまだ、発展途上なのが、地球政府の、実情である。


 それでも、以前よりは、大分良くなった、とも言われるのだ。


 整然と入ってきた彼らに、乗客たちは、緊張を隠せない。


 『あ、みなさん。そんなに、緊張さ、しないでくらさい。ぼくは、地球警察、第一空間部隊の、マーヤ警部補見習い助手です。したっぱです。よろしく。』


 ちょっと、緊張感がほぐれた。


 『通勤途上のお忙しいなかで、恐縮です。みなさんのデータを、法律に基づき、回収、分析さしています。あ、分析できました。え、あなた、やましんさん?』


 突然、ふられたので、やましんは、びっくりした。


 『はい。そ、ですが。』


 『ちょっと、お話さ、したいです。ほかの方は、なにか質問があれば、承りますが、なければ、おしまい。ほら、代替バスが来ました。』


 質問する人はいない。


 『では、乗り換えてくらさい。あ、なお、あとから、お話しする場合があるかもしれませんので。』


 マーヤ警部補見習い助手は、そう言った。


 やましんは、困った状況になった、と、おもったのである。


 

     ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 


 


 


 


 

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