家に着く頃にはもう月は西に傾いていて、私は慌ててリビングの扉を開けた。

 その時、一件のニュースが目に飛び込んできた。


 <速報です。今日の夕方、オオカミが現れたという事件ですが、先ほど、真神公園にて射殺し、死骸を回収しました。これにより、山に住むオオカミの問題は解決されました>


 お母さんが『隣町の真神公園にオオカミが出たって。美奈も気を付けるのよ』と言った。

 私は先ほどまでの勢いをなくし、花瓶に水を入れようと蛇口をひねった。気が付くと水が溢れ返っていて、慌てて水を止めた。瓶いっぱいに入った水をもって、ゆっくりとした足取りで自室に向かった。

・隣町の真神公園。

・オオカミ射殺。

・満月の日。

・ガブが住んでいたのは山の中。

・ガブの両親は殺された。

・オオカミの死骸を先ほど回収。

 信じたくない。何かの間違いだ。そう思いたくて、頭の中で何度も何度も分かっていることを繰り返した。でも、何度考えても同じ答えに辿り着く。

『ガブは【狼男】だった』

抑揚のない無機質な声が自室の冷えた空気を揺らした。

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