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花瓶を机に置いて、椅子に座った。
紙にはいかにも小学生らしい字で、『みなちゃんへ』と書かれていた。
ガブの喋り方は子供っぽくなかったから、小学生らしい一面が見られた様な気がして、うれしくて、思わず頬が緩んだ。
でも、ちゃんと読もうと覚悟を決めて、緩んだ頬を引き締めて手紙の文字を目で追った。
「この手紙がきちんとみなちゃんにとどくとうれしいです。きっとみなちゃんはぼくの本当のすがたを見たらびっくりするんだろうな。みなちゃんはこわがりだから。それでは本だいに入ります。ぼくがみなちゃんに会う三日前りょうしんがころされました。だから、助けをもとめて公園で、昔おしえてもらった[たすけてほしいときにうたううた]を歌いました。でも本とうだね。三日もたったあとだったけど、みなちゃんが来た時は本当にうれしかったです。りょうしんが死んでぼろぼろだったぼくの心は、すくわれました。僕のしんせきはまだいるので、たすけをもとめてあの公園に来るかもしれません。なので、これからも公園でみなちゃんはうたをうたってください。きっとそのうたとぼくたち【真神】が知っているうたは、ぼくとみなちゃんをつなげたように、ぼくのしんせきとみなちゃんをつないでくれると思います。なので、どうかぼくの時みたいにしんせきのこともたすけてあげてください。それじゃあ、さいごになるけど、このことはどうか【神さまのいたずら】ということにしておいてね。今までありがとう。 ガブ」
読み終わるなり私は何度も頷いた。
目をつむると、笑ったガブの顔が浮かんで、胸の中でグシャグシャになったものが溢れ出してきた。
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