第六章

 次の日の夜、いつものように公園に向かったが、そこにガブの姿はなかった。

 一人、満月を見ながら待った。

 南に月が浮かぶころ、隣に人ではない気配を感じた。

 隣を見ると、大型犬くらいの大きさのオオカミが座っていた。

 私は驚きのあまり何も言えず、口を開いたまま、後ろに下がった。

 本当にいたんだ。【狼男】。

 そのオオカミはゆっくりと後退った私の近くまで来て紙と花を置いて去っていった。

 去っていったオオカミの後ろ姿は小さく、頼りなかった。

 私はその紙と花を手に取ると、弾かれるように家に向かって走った。

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